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2021年もまた、マネジャーが取り組むべき新たな課題と責任が生まれた。ハイブリッドワーク、大退職時代、大規模なバーンアウト(燃え尽き症候群)など、例を挙げればきりがない。米国『ハーバード・ビジネス・レビュー』編集部が平日毎日発行しているニュースレター「Management Tip of the Day」では、大きな変化と不確実性に見舞われる中で、マネジャーがチームを、そして自分自身をマネジメントするためのヒントを提供している。2021年に掲載した論考の中から、編集部が厳選した10本を紹介する。

職場復帰を望むリーダーに在宅勤務の実態を示す

 オフィスが再開し始め、マネジャーは在宅勤務を継続したい従業員と、従業員全員の職場復帰を望む上級幹部の間で板挟みになっている。この緊張状態を、どのように解決すればよいのか。

 まず、リーダーの懸念を理解することだ。従業員が仕事に真剣に取り組んでいると思えないのか。従業員が十分に協力できていないと考えているのか。リーダーが職場復帰を促す理由がわかったら、その懸念に対処する方法を見つけよう。

 リモートワークは個人だけでなく、企業にとっても有益であることを示そう。たとえば、リモートワークをやめれば退職してしまう、優秀な従業員を引き留めることができると強調する。リモートワークなら幅広い人材プールから採用が可能であると指摘することもできる。人事部に、在宅勤務がどれだけ会社に利益をもたらしているかを示すデータがあるかどうか、尋ねてみるのもいいだろう。

 あなたのチームが、働く場所にかかわらず仕事に取り組んでいることも示そう。たとえば、職場の従業員とリモートの従業員両方が参加するビデオ会議にリーダーを招待すれば、参加している場所にかかわらず全員がコミットし、参加していることを、リーダーが確認できる。

 リーダーが従業員に職場復帰するよう圧力をかけていて、あなたは全員がよりよいバランスを取る方法があると信じているならば、これらの方法を実践し、自分の主張が正しいことを説明しよう。

邦訳:リズ・キスリク「リモートワークに懐疑的な上司をどう説得すべきか」

 

リモートで批判的なフィードバックをする方法

 批判的なフィードバックを与えることは、マネジャーとして最も困難な責務の一つだが、リモートワークの場合はそれがさらに難しくなる。在宅勤務で、フィードバックの方法をどのように変えればよいのか。心に留めておくべき重要な方法が以下だ。

・質問することから始める。自分の意見を述べる前に、パフォーマンスに対する従業員自身の認識を理解する必要がある。
・批判する前に明確に感謝を伝える。あなたが自分を評価していると確信していれば、従業員はフィードバックを受け入れやすい。
・肯定的な意図を述べる。「私はあなたの味方です」などのシンプルな言葉でも、大きな効果がある。
・明快に説明し、対比する。「私が言っているのはXということで、Yではありません」
・従業員に、会話から得た重要なポイントを述べてもらう。

 私たちは皆、パンデミックの影響で激しいストレスを抱えている。フィードバックを明確かつ慎重に与えることで、たとえリモートであっても、従業員はあなたのメッセージの真意を捉えることができる。

"Giving Critical Feedback Is Even Harder Remotely," HBR.org, January 26, 2021.(未訳)

 

角を立てずに催促する方法

 誰しも経験があるはずだ。話をしたいこと、関連情報を提供してほしいこと、知り合いを紹介してほしいことをメールで依頼したにもかかわらず、相手から反応がない。いら立つものだが、相手があなたと連絡を断ちたいと思っていると結論付けるべきではない。皆、たくさんのことを抱えているのだ。ていねいなナッジで相手に連絡する方法を紹介しよう。

 最初に、説得力のある件名をつける。「フォローアップ」あるいは「チェックイン」といった一般的な表現は避けたほうがよい。漠然としているだけでなく、相手が「返事が遅い」と非難されているように感じてしまう可能性がある(それは返事をさらに遅らせる)。そうではなく、「Xプロジェクトの次のステップ」「求人についての質問」など、より具体的な件名をつける。

 次に、論調に注意する。研究によれば、「ややポジティブ」または「適度にポジティブ」なメールは「中立的」なメールに比べて、返信を得られる確率が10~15%高い。フレンドリーで、礼儀正しい印象になるよう心がけよう。

 最後に、簡潔かつ具体的に質問し、相手に断る口実を提供する。そうすれば相手は面目を保ち、関係を維持することができる。

 上記をすべて実践しても返事がない場合、もう一度催促するかどうかは慎重に判断しなくてはならない。見込みはないと判断し、次に進む必要があるかもしれない。

邦訳:レベッカ・ザッカー「いつまでもメールの返信がない時、上手に催促する方法」