●互いに感謝の気持ちを忘れずに

「悲しみの1年でした。あの恐ろしい病気で家族を1人亡くし、姉も失いそうになりました。他の家族は幸運にも回復しました。家族に会いに行き、無事を確かめて、彼らが必要なものを手配し、それ以上に大切なのは家族ともっと交流すること。それが私のやるべきことです。人生はあまりにも短いのだから」
──ジェリー・アントナトス(アストリア、米国)

「世界中のいかなる戦略的思考も、人間関係の力に取って代わることはできないと学びました。特に、紛争の解決には通用しません」
──アレクサンダー・ダヴィディアン(ニコシア、キプロス)

「私が学んだ最も重要なことは、従業員を人間として見なければならないということです。問題や懸念に対処する際に忘れてならないのは、オフィスに来るのは数字ではなく、人間だということです。職場の外での生活は従業員にとって決定的な役割を果たし、彼らは自分の生活を携えて毎日、職場にやって来るのです。質問をし、思いやりを持ち、共感を示す。私はこれからも、人間に焦点を当てて人材管理の務めを果たしていきます」
──キャリー・ラダー・キミー(フォートローダーデール、米国)

 友人や同僚とのつながりについて2021年に最も人気のあった記事は、「リーダーは思いやりがもたらす効果を侮るべきではない」「チームワークは4つの要素で決まる」だ。

 前者は2021年5月に掲載され、ノースカロライナ大学チャペルヒル校ケナン=フラグラー・ビジネススクール助教授のオブール・セザー、INSEAD博士候補生のケリー・ノールト、INSEAD助教授のナダフ・クラインが、研究に裏付けられた思いやりの利点を概説し、チームが思いやりを持って行動するよう促したいリーダーに対し、実践的なヒントを提案している。

 後者では、ペンシルバニア大学ウォートンスクール准教授のマーティン・ハースとINSEAD准教授のマーク・モーテンセンが、複雑な環境下でチームが機能するための基本的な要素を考察している。2021年に私たちが学んだことを1つ挙げるなら、複雑な環境で機能する方法だ。

 ●最も重要なことは何かに気がついた

「私が子どもの頃、祖母は『健康は財産』だと言っていましたが、どういう意味なのかよくわかりませんでした。いまは、自分の周りで多くの家族が健康の危機にさらされているのを目の当たりにして、祖母の言葉の大切さを実感しています。歳を重ねるにつれて、次のステップに進む時が来るまで充実した人生を送るために、あらゆることをやろうと自分に言い聞かせています。自分と家族の健康に気を配り、大きな病気をせずに生きていきたいと思っています」
──ナヴィード・カーン(サンフランシスコ、米国)

「自分でコントロールできることや影響を与えられることに集中する。それ以外のことは気にしなくていい」
──アーロン・エルスモア(ブリスベン、オーストラリア)

 ハーバード・ビジネス・スクール教授を務めたクレイトン M. クリステンセンによる「プロフェッショナル人生論」は、2010年に初めて掲載されて以来、HBRで最も人気のある記事の一つだ。いまあらためて振り返ってみると、特に「大退職時代」(グレート・レジグネーション)の大波の中で仕事や私生活を再評価しているであろう読者に、強く共鳴している。

 クリステンセンの古典的な記事のほかにも、“The Secret to Building Resilience”(未訳)と「『幸せ』について教わってきたことは、真実ではなかった」の2本は2021年によく読まれ、困難な状況で自分自身を維持するための考え方を示しているのでお勧めしたい。

 ●2021年が私たちをどのように変えたかを認識する

 ジョーダン・コーエンのコメントには、多くの読者が共感するだろう。2021年に何を学んだかという質問に、彼は次のように答えている。

「私は変わりました。いつまで続くのでしょうか。些細なことに、これまで以上に感謝するようになりました。考え方が変わりました。優先順位が変わりました。よりゆっくり動き、より多くのものを見るようになりました。より多くの注意を払い、時にはあえて注意を払わないようにしています」

 2022年が皆さんの人生において、穏やかな1年になりますように。2021年にあなたが変わったことも、変わらなかったことも、すべてを包み込んで。

【編注】
『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』2022年3月号に翻訳を掲載予定。


"HBR Readers Reflect on 2021," HBR.org, December 28, 2021.