求人に応募する

 ●履歴書を更新する

 まず、大事なことから取りかかろう。履歴書が最後に就職活動をした際のままなら、更新する時だ。幸いなことに、ここ数年で雇用市場は大きく変化しているが(「大退職時代」〈グレート・レジグネーション〉が到来した)、履歴書を目立たせる要素はそれほど変わっていない。

 履歴書は、採用担当者やHR担当者、人事マネジャーなどの「読者」に対し、必要なものを持っているのは「あなた」であると確信させるために、慎重に作成するマーケティング資料だと考えよう。必要な要素をすべて盛り込んだ基本バージョンをつくり、応募する仕事に合わせて微調整するとよい。

 冒頭では、自分の専門性を要約して印象的にする。これは読み手を引き込むための物語のつかみであり、2~3のセンテンスか箇条書きにする。次に、自分の経験を具体的な仕事の要件と結びつけるために、実績欄を設けるとよい。無関係な仕事の経験でスペースを無駄にしたくはない。経験を記載する際は、専門性を具体的に示し、できるだけ数字で実績を表す。

 著述家のクリスティ・デポールは、印象的な書き方の例を挙げている

「過去の役職では、標準時が異なる4つの地域に分かれている6人のグローバルなチームを率いて、売上げを年間500万ドルから600万ドルに20%増やしました」

 履歴書は、業績だけでなく、それを達成した背景を読み手に伝えるストーリーだと考える。その目的は、過去に成し遂げたことに基づき、あなたはどのような貢献ができるかを雇用者に理解してもらうことだ。

 職歴に空白期間がある、複数の会社を短期間で辞めている、予定外の離職を経験しているといったことは、あまり気にやまなくていい。それを危険信号と見なす採用マネジャーもいるかもしれないが、エグゼクティブコーチのパトリシア・カールが指摘するように、完璧な履歴書は存在しない。ここ数年の不確実な状況や雇用の減少を考えれば、なおさらだ。それらについては、送付状や面接で言及することができる。

 そして当然、リンクトインのプロフィールも忘れないように! 履歴書の切り貼りにはしないこと。履歴書とは異なるメディアなのだ。リンクトインのページでは、最もリーチしたいオーディエンス(おそらく目指す分野の採用マネジャー)とつながることのできる、まとまりがあり簡潔なストーリーを伝えなくてはならない。記載内容は厳選しよう。経験したすべての職務を記載する必要はない。

 ●カバーレターを書く

 カバーレター(送付状)は過去のものだ、と言いたいところだが、そうではない。たとえ2通に1通しか読まれなかったとしても、50%のチャンスをものにするために送付状を書くことがプラスに働く。では、具体的に何を書けばよいのか。

 書き始める前に、その会社や希望する職種について詳しく調べよう。履歴書と同じように、冒頭は印象的にしたい。冒頭部分が明確で簡潔だと、読み手の注意を引くことができる。採用マネジャーは、問題解決に貢献できる人材を求めているので、会社の業務内容や直面している課題を理解していることを示す。そのうえで、自分の経験がそれらのニーズを満たすために、どのように役立つかを説明しよう。

 オンライン応募のため送付状を提出できない場合は、決められたフォーマットを使って、仕事の能力と職務への熱意をアピールしよう。いずれにしても、それが送付状の最終的な目標だ。

 宛名は「関係者各位」ではなく、特定の人物の名前を書くようにする。採用マネジャーは誰なのかを調べよう。その会社や従業員と個人的なつながりがある場合は、冒頭でそれを述べる。

 ここでもストーリーを語るチャンスだ。Everyday Business Storytelling(未訳)の著者、ジャニーン・カーノフとリー・ラザラスは、盛り込むべき要素(括弧で記載)とストーリーの構成について、次のような例を挙げている

「私の強みの一つは、プレッシャーの中で戦略的に方向転換する能力(ビッグアイデア)です。たとえば、この年の最終四半期は新型コロナウイルスによる旅行禁止(対立)の影響で、社の売上げが激減しました。そこで私は、この時期に顧客(登場人物)が本当に必要としているものは何かを考え、国内市場(場面設定)に向けて現地生産の製品を提供する戦略に転換することにしました。私のチーム(さらなる登場人物)はAとBとCをすることで、それを実現しました。その結果、地域経済のグローバルな向上に貢献できただけでなく、翌年の第1四半期には売上げが15%も増加しました(解決策)」

 このようなストーリーを送付状で1つか2つ語れば、単に履歴書を焼き直して箇条書きにしただけの人とは一線を画すことができる。送付状に複数のエピソードを書くスペースがない場合は(送付状は1ページに収めるのが望ましい)、面接で他のエピソードを話すといい。