面接を成功させる

 面接に関する筆者のお気に入りのアドバイスの一つが、キャリアアドバイザーで著述家のジョン・リーズのこの言葉だ。「自分らしさを出してはいけない」。面接とは「最高の自分を見せることを目的とした、訓練を積んだ即興のパフォーマンス」として捉えるべきだと、彼は提言している。面接のコツを紹介しよう。

 ●リモート面接に備える

 最近は、将来の上司や同僚と直接会うことがない可能性もある。ビデオ面接に臨む場合は、テクノロジーに慣れるために特別な対策を講じ(失敗して印象を悪くしたくないはずだ)、プロフェッショナルに見える背景にする必要がある。会話中に非言語のフィードバックがあまり得られないため、友好的な雰囲気を伝え、感情的なつながりを確立することに重点を置く。

 コミュニケーションの専門家であるカーマイン・ガロは、そのための素晴らしいヒントを紹介している。背景を利用して、あなたがどのような人物かを採用担当者に示すとよいという(自分が読んだ本を棚に並べるなど)。彼はまた、ゆっくり話し、抑揚をつけて要点を強調すべきだとアドバイスする。注意すべきは、ビデオでは、あなたの声が対面の場合よりも重要になることだ。

 ●準備を徹底的にする

 面接が対面であろうとオンラインであろうと、準備は非常に重要だ。下調べが必要なのは常識だが、それを十分に行っている人はほとんどいない。組織、業績、文化など、その会社についてできるだけ多くのことを調べよう。業界についてもリサーチし、動向や課題を理解する。また、面接官についても少し調べてみよう。

 当然のことながら、面接の前には職務内容を何度か読み返し、自分がその職務に必要な能力を持っていることをアピールできるようにする。

 面接官に伝えたいことを3つか4つ決めよう。あなたが成し遂げたことと、その職務で必要とされていることを結びつける内容でなければならない。どのように伝えるか考える際には、テキサス大学オースティン校のアート・マークマン教授が論じたように、以下の採用マネジャーや面接官が聞きたい3つの質問を念頭に置く。

・一緒に働く仲間としてどのような人か。
・学び続ける人か。
・率先して行動する人か。

 多くの面接官は、これらの質問を直接的にはしない。しかし、回答やボディランゲージを通して、信頼できる関係を築き、挑戦や挫折を通して学んだことを伝え、よい質問をする能力を示せば、あなたがその職務に適していると確信してもらえるだろう。

 ●面接でよく聞かれる質問の練習をする

 面接を受けるほぼ全員が答えに窮するが、必ず聞かれる質問が2つある。「あなた自身について話してください」と「あなたの最大の弱点は何ですか」だ。この2つの質問の答え方を紹介しよう。

「あなた自身について話してください」

 履歴書や送付状の焼き直しはやめよう。会社が支持するものやその職務に求められるものと一致する、あなた自身やあなたのキャリアに関するストーリーを語る。職務内容に「起業家精神のある人」が必要だと書かれていたら、これまでのキャリアの特徴の1つが率先して行動することだと説明する。なお、筆者の同僚のクリスティーン・リウは、動画の中でこの質問への答えを探っている。

「あなたの最大の弱点は何ですか」

 この質問は、キャリアアドバイザーでさえ嫌がる。弱点のようで実は強みであるものを考えようとするのではなく、正直に答えよう。実際に改善できる点を取り上げ、そのためにこれまで何をしたか、今後どのように継続していくのかを説明する。

 HR部門の幹部を務めるデイビッド・ギャロリースは、こう述べている。「その人の組織をまとめ上げる力に改善の余地があるかどうかや、大人数の前でプレゼンすることや大規模なチームを率いるのが苦手かどうかを知りたいわけではない。私が知りたいのは、彼らが自己認識を持っているかどうか、批判的になれるかどうか、そして最も重要なのは、困難な状況でも真実を語ることができるかどうかだ」

 ●危険信号に気をつける

 面接に成功することばかり考えて、あなたが会社を評価しなくてはならないことを忘れてはいけない。その職場は、あなたに適しているだろうか。

 具体的には、上司になる人が一緒に仕事をしたいと思える人物かどうかを考える。面接の間、そのマネジャーがあなたにどのように接したかに注目する。好感が持てたか。問題が生じたら相談しようと思える人か。自分の直感を信じよう。

 企業文化も考慮しなければならない。1時間の面接でそれを推測するのは必ずしも容易ではないが、多くの情報を得ることができる。著述家のクリスティ・デポールのアドバイスは、「御社の文化について教えてください」というような一般的な質問は避け、以下のような直接的な質問をすることだ。

・誰かがプロジェクトで失敗した時、チームはどのように対処していますか。
・過小評価グループの従業員に向けてインクルーシブな文化をつくるために、具体的にどのような取り組みをしていますか。
・部門横断的な衝突が起きた場合、どのように解決していますか。
・従業員がリモートで仕事をしている場合、会社はどのようにコミュニティ感覚を確保していますか。