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職場のジェンダーギャップが生じる原因はいくつもあるが、その一つとして、女性が社内政治に消極的であることが指摘されている。自分の成果は仕事で語るべきだと考えたり、ペナルティを受けることを恐れたりするためだ。しかし、仕事をする以上、他人との関わりを避けることはできず、組織の中で認められるためには、政治スキルを発揮することが欠かせない。筆者らは、社内政治に対するマインドセットを変えることができれば、キャリアアップを実現できるという。本稿では、そのための5つの方法を紹介する。


 組織のシニアレベルのリーダーシップにおいて、女性、特に有色人種の女性は圧倒的に人数が少ない──聞き飽きた感もあるが、新型コロナウイルスの感染拡大はこの状況をさらに悪化させた。女性が男性と同等に至るまでの年数が、2021年にはそれまでより3分の1増えたのだ。

 パンデミックは、女性がこの10年間で獲得してきたものを、ほぼすべて消し去った。新型コロナ以前のレベルに回復するには、数十年かかるかもしれない。

 リーダーシップにおいてジェンダーギャップが生じる原因は数多くあり、解決策も提案されている。その中では、「社内政治」に対する女性の反応の違いが指摘される。

 政治とは、広義には、「物事が誰によって、どのように行われるか」という不文律をうまく乗りこなすことだ。職場で他の人のモチベーションを理解し、その知識をもとに個人的な利益と組織の目標の両方を強化する方法で影響力を行使することも、政治だと言える。

 筆者らは心理学者やコーチとしての経験から、多くの女性が社内政治に対し、アレルギーに近い反発を示すことを知っている。多くの研究もこれを裏付けている。女性は政治を「汚い」あるいは不誠実なものと見なし、職務満足度の低下を招くストレスとして受け止めるのだ。

 しかし、人間は生来的に他者との関係から成る生物であり、政治スキルは重要だ。組織生活に必要不可欠なのだ。研究でも、政治スキルをうまく使えることが、キャリアアップに不可欠であると確認されている。

 もちろん、オフィス政治に参加することはストレスになりうる。自分の本来の選好やパターンを超えた振る舞いを強いられることも少なくない。そこで不快感を減らし、キャリアアップに最大限つながるような政治参加の方法を探っていきたい。

 本稿ではまず、女性が社内政治を嫌う背景に挙げられる一般的な考え方を確認する。次に、マインドセットを変える方法を提案する。マインドセットの移行は、多くの女性が政治スキルを活用する助けになった。