●チームの目標を一緒に再設計する
対話と学習を通じて怒りの原因を理解し、感情のエスカレーションを回避できれば、メンバーのフラストレーションをより建設的な結果に転換するための施策に着手できる。
研究では、他者に危害を加えるための戦いではなく、他者に恩恵をもたらすための戦いへとフラストレーションの矛先を変えれば、問題解決志向が高まり、高いモチベーションを持てるようになることが明らかになっている。
チームメンバーが自分の感情を制御し、方向転換することができれば、関係者全員の感情が好転するだけでなく、どのような変化を起こすべきか、変化を起こすためにどこから着手すべきかを検討するように、チームの創造性をいっきに高めることができる。
加えて、目標と期待を適切に設計することで、チームメンバーの怒りの感情を活用して、彼らのスタミナを強化し、やり抜く力(グリット)を引き出すことができる。ある研究によれば、失敗を避けることを目標にするのではなく、成功を収めることを目標に設定することで、怒りの感情を粘り強さとエンゲージメントの強化につなげることができるという。
チームメンバーが疲労困憊している時には、チームが追求している目標の内容について検討しよう。
現在の目標はストレッチ目標だが、実際に達成可能なものか。あるいは、あまりにも現実離れしているので、失敗に終わる可能性が高いものか。そして、チームに対して、ある程度の失敗を容認する健全な期待を持っているか。あるいは、失敗を許容しない姿勢でいるために、メンバーは鼓舞されるのではなく、恐怖に突き動かされる状況になっていないか。
チームの能力を高め、成功に導くことができる目標をメンバーと共創する。そうすることで、怒りの感情をネガティブ感情ではなく、ポジティブで生産的な感情に転換することができるだろう。