●マネジャーに具体的な役割を与える

 マネジャーに明確な役割が与えられている研修やスキル形成プログラムが、あまりにも少ない。これは誤りである。マネジャーは本社のHR部門やL&Dチームに比べて、従業員の優先順位をより的確に把握し、またコントロールすることができる。

 研修プログラムではマネジャーの力を上手に活用し、より多くの参加者を獲得しなければならない。たとえば、研修イニシアチブについては、L&Dチームの担当者が発表するのではなく、マネジャーが直接チームメンバーに伝える。そのうえで、HR部門やL&Dチームが詳細を補足し、リマインドするのも一案だろう。

 フランスの小売大手カルフールは、社内の「カルフール大学」でマネジャーに重要な役割を与えている。「参加者は全員、自分がトレーニングセッションに選抜されたことをマネジャーから知らされます。マネジャーはそのセッションの能力開発目標を承知しているので、チームメンバーが新しく得たスキルを、実際に仕事に取り入れる手助けができます」と、同社で最高人材育成責任者(CLO)を務めるアディルソン・ボージスは言う。

 ラインマネジャーもまた、トレーニングを終えた参加者が、そこでの学びを他の従業員に共有するよう促すことができるだろう。

 ●マネジャーをサポートし、研修内容を実際の活動に変える

 マネジャーのもう一つの役割は、トレーニングを通じて学習した内容を現場で適用できるように、チームメンバーを支援することである。

 オランダに本社を置く保険会社のエイゴンは、全社プログラム「アナリティクス・フォー・リーダーズ」の一環として、このアプローチを採用している。最高データ・分析責任者のヒーク・ヴァン・デル・シールが統括する同プログラムでは、さまざまなビジネスシーンでアナリティクスをどう利用できるか、具体的なアイデアを創出することにも取り組む。

 その際は、マネジャーもプログラムに参加し、参加者が提案したアイデアを承認して、実際の当事者として、そのアイデアを「所有する」役割を担う。「当事者意識を持つことは重要です。どれだけ『優れたアイデア』であったとしても、当事者なくしては何も進展しないからです」と、ヴァン・デル・シールは言う。

 プログラム終了から1カ月後、運営担当者はマネジャーを追跡し、それぞれのアイデアの進捗状況を評価して、問題があれば対処する。このプロセスは定期的に繰り返され、同社のシニアマネジャーは研修から生まれた具体的な活動について、定期的な報告を受ける仕組みだ。