
育児や介護、ボランティア活動などを理由にキャリアを中断する例は少なくない。優秀な人材を求めて再就職プログラムを実施する企業は増えてきたが、キャリア中断にネガティブな印象を抱くマネジャーは依然として多い。リンクトインが職歴欄に「キャリアブレイク」のカテゴリーを追加したことは、キャリア中断がキャリアパスの一部であることを明確に示す、大きな進歩だと筆者は語る。本稿では、この機能が再就職希望者と企業にどのような成果をもたらすかを論じる。
リンクトインは2022年3月、プロフィールの職歴欄に「キャリアブレイク」という新たなカテゴリーを追加した。この新機能は「キャリアパスは常に直線的とは限らない」という考え方を一般に広げる助けになる。また、実際に再就職プログラムを実施したり、別の方法でキャリア中断からの復帰を試みる人材プールを確保しようとしたりしている企業にとって、大いに役立つだろう。
「キャリアブレイク」のカテゴリーは、伝統的な労働力の枠組みから一時的に離れている人たちが、それをリンクトインのプロフィールで明示できるだけでなく、キャリアを中断している間にどのような経験をしていたのか(旅行、家族的責任の負担、ボランティア活動など)を、従来の職歴と同じように説明できる仕組みだ。
再就職プログラムを導入する企業は、かつてない勢いで増えている。一時的に仕事を辞めていた人たちは「隠れた」人材プールであること、そしてほとんどの場合、有給の仕事を辞めた理由は本人の仕事のパフォーマンスと無関係であることに、採用担当者も気づきつつあるのだ。
コロナ禍の間に、再就職希望者を獲得しようとする取り組みは拡大した。リンクトインのデータを見ても、米国の求人でキャリアブレイクに言及する割合は2020年と比べて63%、2018年と比べると100%近く上昇している。
求職者にとって、リンクトインの「キャリアブレイク」という表示は、有給の仕事に就いていなかった期間を何と呼ぶべきか、どのように位置づければよいかという問題に、解決策を与えてくれるものだ。
一方、事業者にとっては、ますます増えつつある再就職希望者の採用という問題に解決策を与えてくれる。
公式の再就職プログラムのほとんどが、少なくとも1~2年以上のキャリアの中断期間を応募条件として定めている。しかし、求職者の多くは、その期間もボランティアや他の活動をしていたと説明する。そのため現在も就業中と見なされ、再就職プログラムの対象者に該当しないと誤解されるおそれがあるのだ。