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自分がキャリアでどのように成功したいと思うのか。長期目標を定めて、実際に達成するのは簡単なことではない。コロナ禍がもたらした混乱を経て、キャリアプランをどのように組み立てていくべきか迷ったり、そもそも仕事に何を求めているのか自分でもわからなくなったりしてはいないだろうか。従来の常識が大きく変化したいま、自分にとっての最終目的地を見定め、そこに近づくための4つの戦略を紹介する。


 キャリアの長期目標を達成するのは、それほど簡単なことではない。だが、自分が進もうとする目的地がわかっていれば、少なくともそこに至るまでにどのようなプロセスが必要か見えてくるだろう。まず最終目的地を定めて、そこから遡って現在までの道程を描き、目の前のプロセスをひたすら実行していくことだ。

 しかし、この2年間でほとんどの人が、自分たちの歩んできた道筋に大きな混乱がもたらされるという経験をした。これまで常識だと考えられてきたことが、根底からひっくり返されたのだ。

 私たちの働き方は大きく変わり、リモートワークやハイブリッドワークが広く普及した。コロナ禍の1年目だけで、米国人の11%が引っ越しをするという地理的な移行もあった。さらに、国際労働機関(ILO)の推計によれば、2020年に1億1400万人が職を失っている。労働市場が上向きに転じ、雇用回復がさらに進めば、自分がどこでどのように働くかというキャリアパスも変わっていくだろう。

 変化したのは、自分のキャリアプランの組み立て方だけではない。多くの場合、自分には何が可能で、実際のところ何を求めているのかに関する理解も変化した。

 そのような変化で物事がはっきりしたという人もいる。「家族の近くに住みたい」「リモートで働ける仕事にしか就きたくない」「自分の会社を立ち上げる時がきた」というように、自分が何を求めているのかが明確になったのだ。しかし一方で、自分が何を優先したいのかはっきりせず、困惑している人がいるのも事実だ。

 大半の人たちは、チャンスを見つけたらそれをつかみ取り、落とし穴を避けるためにも場当たり的に進行方向を変えるのではなく、長期的に考えたキャリアパスを歩みたいと思うものだ。しかし、自分はどこに行きたいのか、最終目的地がまったくわからなければ、戦略的な視点で考えることはできない。

 そこで、筆者の研究で明らかになった4つの戦略を以下に紹介しよう。いずれの戦略も、最終的に長期目標がどのように設定されても、そこに近づく一助となるものだ。