企業内ノマドになる方法
個人と組織にもたらす多大なメリットを考えれば、企業内ノマドの普及は避けて通れない。ただし、企業内ノマドへの転身を成功させる(最近ではバーチャルが大半だ)うえで、従業員は4つの重要な原則を守る必要がある。
(1)パーパスを明確にする
新型コロナウイルス感染症のパンデミックを受けて、また昨今の国際情勢のデリケートな地政学的シナリオを考えればなおさら、私たちは人生の意義を追い求めるようになっている。
社内で新たな貢献や経験をする機会に応募するかを考えるより前に、まずは自身のパーパスを明確にしよう。企業内ノマドの申請を組織に却下された場合、新たな仕事に何を求めるべきかを含めて、自分が求めていることについて考える際は「6つのC」モデルが有益だ。
(2)プロジェクトパートナー候補を体系的に探す
自身のパーパスを明確にして、経験、学び、貢献という観点から魅力のある包括的な選択肢を列挙できたら、次は、あなたが恩恵をもたらす可能性のある組織ユニットや部門、地域を体系的に探す必要がある。また、それと同等に大切なのは、ノマド的な働き方をする際にパートナーになりうる特定の「人物」を探すこと(そして、彼らのレファレンスをチェックすること)だ。
このプロセスには実際の仕事探しと同じくらい真剣に取り組むべきであり、その際は筆者の過去の論考やダウンロード可能な意思決定支援ツールが役立つだろう。
(3)アイデアを上司に売り込む
成功する見込みの高い魅力的な機会を特定したら、上司に対して率直かつ情熱的に、その仕事に時間の一部を割きたい理由を伝えよう。筆者の経験では、あなたの選択が妥当なものであれば、大半の人はその取り組みを非常に前向きなサインだと解釈し、力強く応援してくれるはずだ。
(4)自身の人生を積極的に管理する
ギャロップの直近の「ステート・オブ・ザ・グローバル・ワークプレース・リポート 2021年版」によると、労働者の日々のストレス水準は歴史的な高さに達している。一方で、このリポートでは、記録的な数の労働者が成功を収めていることも示されている。
その秘訣は何か。彼らはみずからの仕事を主体的に選び、自身の人生を管理する手腕に優れているのだ。そのカギとなるのは、仕事を「増やす」のではなく、プロジェクトやタスクの組み合わせを全面的に改良することだ。
知識労働者の生産性は、幸福度と同じく、人によってその差が極めて大きい。生産性と幸福度の両面で頂点に立つ人々は、テクノロジーの侵攻に対抗する達人だ。彼らは常に1週間先の計画を立て、重要なタスクのために時間を確保し、デジタル機器がもたらす注意散漫や侵攻を回避する。そして、情熱を傾けたいものがあれば、それ以外のことには自信を持ってノーと言える。
筆者の場合、挑戦しがいがあり、自分で立ち上げた、締め切りのあるプロジェクトに取り組んでいる時、最も生産性が高まると自覚している。そのようなプロジェクトに向き合っているとフロー状態を実感でき、その結果、エネルギーに満ちあふれた状態で「それ以外のすべて」も達成することができる。逆に、そのようなプロジェクトがない時期は、すべてを先延ばしにして、最も重要な通常業務さえ遅れ気味になりやすい。