リーダーが対処すべき5つのステップ
世界のCEOと取締役1400人以上を対象とした最近の調査によれば、企業が現在直面している最重要課題は人材争奪戦だ。「仕事の新世界」では、有害なロックスターに対処する気がないために有色人種の女性を失うことは、失敗に直結する。その事実が、ますます明らかになっている。
そこで、パフォーマンスの高いガキ大将が優秀な従業員を追い出すことがないように、リーダーが取るべき5つのステップを以下で説明する。
●「ノー・トレランス」ポリシーを確立する
即座に解雇しなければならない振る舞いがあることは、間違いない。にもかかわらず、経営陣やHR部門が繰り返し通報を受けていながら、雇用主が有害なロックスターの悪行を容認しているケースがあまりに多い。
自社のリーダーに関する通報を一度でも受けたら、徹底的に調査を行う。自分の行動が相手を傷つけているのだと本人が理解していないだけならば、コーチングや長期トレーニングが適切かもしれない。
しかし、2回、3回、4回と通報を受けながら、いっさいの行動を起こさなければ、「悪行も他の要素で埋め合わせればよい」というメッセージを全従業員に送ることになる。企業は断固とした行動を取り、有害な環境をつくり出す人物を解雇しなければならない。
●自社の文化を率直に見つめる
組織開発の専門家であり、インディアナ州立大学教授のスティーブ・グルーナートとミズーリ大学特別非常勤教授のトッド・ウィテカーによれば、「あらゆる組織の文化は、リーダーが許容する最悪の振る舞いによって形成される」という。リーダーは自分が何を許容しているのか、問い直す必要がある。
自社の文化をじっくりと観察しよう。文化について本音で回答してもらう調査を行い、フォーカスグループを実施して、さまざまなレベルの従業員と1対1で対話する。あなたが謙虚で、好奇心が強く、共感力のあるリーダーであれば、そこから驚くような学びを得られるはずだ。
ある従業員からHR部門に「有害」な行為の通報があった時は、何が起きているのか確かめる。HR部門は全体を見て評価しているか。あるいは、被害を受けた側の経験を切り捨てているか。たび重なる苦情を無視しているか。そして、重要なことは、自分たちは会社を守っているのだと信じるがゆえに、そのような対応を取っているかどうかだ。そうであるならば、根底から考え直さなければならない時が来ている。
少なくとも、従業員の声に真摯に耳を傾けることで、彼らとの関わりを深めることはできる。徹底した従業員体験評価を行い、従業員リソースグループ(ERG)と連携して、多様な人材と1対1で話をする場を設け、彼らが最高の仕事をするために何が必要か理解しよう。
このプロセスでは一貫して、リーダーは謙虚でいなければならない。どのような文化を育みたいのか、その方向性を示すのはリーダーである、また、その文化がうまく機能しないのであれば、それはリーダーの責任だ。