●何かを目撃した時は、声に出して伝える
リーダー、特に男性リーダーは、どうすれば問題解決に貢献できるのだろうか。
まず、勇気を持つことから始めよう。リーダーは「傍観者効果」の影響力を理解しておかなければならない。人は有害な状況が展開されるのを目撃しても、そこで何が間違っているのかを自分より明確に理解している人、あるいは効果的な介入方法を知っている人がいると思いがちだ。その結果、多くの人が、問題があることはわかっていても何も言わず、実際に介入することはない。
ジョンズ・ホプキンス大学ケアリー・ビジネススクール准教授のデイビッド・スミスと米国海軍兵学校教授のブラッド・ジョンソンは共著Good Guys(未訳)で、男性の有害な行動を阻止するうえで、男性の同僚が重要な役割を果たす、と指摘している。彼らは、次のように書いている。
「多くの場合、男性は自分のやるべきことに確信が持てず、失敗することを恐れて、関わりを持ちたがらない。あるいは女性だけの問題だと考えて、尻込みする。しかし、組織全体に影響をもたらす以上、実際はリーダーシップの問題なのだ。(中略)すなわち、リーダーとして問題に関与しなければならない。
たとえば、女性の同僚が会議で発言を遮られていたら3回目は注意する、あるいは性差別や嫌がらせのジョークに抗議する。男性は他の男性に対して、積極的に反論するつもりでいる必要がある。そうすることで初めて、本当の変化が起き始めるのだ」
行動すべきは、いまである
いままさに、有色人種の女性を失うことによる影響が注目を浴びている。リーダーシップチームを含めて、組織の多様性が成長と利益につながることを示すデータは、これまで以上に増えている。
米国の労働力がより多様化し、新型コロナウイルス感染症のパンデミックを経験したことで、私たちは働き方の未来図の変化に対応し始めると同時に、新しいリーダーのあり方が必要だと受け入れるようになった。ダイバーシティの重要課題を理解し、共感力のあるリーダーシップを発揮して、職場環境の変化をじかに体験しているリーダーが求められる。
有色人種の女性は、この点について生の声と新たな方向性を提供できる。彼女たちがこれ以上、トラウマを植えつけられ、会社の収益が損なわれていく様子を、ただ眺めている必要はない。
有能な人材を維持し、新たに有色人種の女性や他の多様な人材を惹きつけたいと思うならば、いまこそ有害なロックスターを排除する時だ。今日の競争環境下において、あなた自身が成長し、会社が成功する一助になるはずだ。
"Leaders, Stop Rewarding Toxic Rock Stars," HBR.org, April 20, 2022.