●目的を明確にする
パーソナルブランドを構築して磨き上げることは、時間がかかる。そして「急を要する」ことはめったにない。それならば、なぜわざわざやるのだろうか。パーソナルブランディングを始める前には、目的を明確化することが欠かせない。さもなければ、時間的制約が生じた時に、たちまちモチベーションが低下してしまう。
パーソナルブランディングというプロジェクトの目的を見出す簡単な方法は、「自分はなぜ、このプロジェクトに取り組んでいるのか」と何度か自問することだ。
その答えは「自分の専門能力を認識してもらうため」かもしれない。そこで、さらに自問する。「なぜ自分の専門能力を認識してもらいたいと思うのか」
「営業の領域で大きな影響力を持ちたいから」というのが、答えかもしれない。そして「それはなぜか」と再び問おう。「家族を養うため」「商品やサービスをより多くの人々に届けるため」など、さまざまな答えがあるだろう。間違った答えというものはない。だが、何が自分のモチベーションであり、それが自分にとってどれほど重要な意味を持つかを理解することが大切だ。
もし問いを重ねても、何か有意義なもの、つまりパーソナルブランディングに取り組むモチベーションになるものにたどり着かない場合は、プロジェクトに着手しないことを強くお勧めする。
●投資判断をする
そのプロジェクトには、どれだけのコストがかかるのか。会社のプロジェクトの場合には、スタッフの作業時間や広告費、研究開発、試作、ソフトウェア、製造といった面からコストを算定するだろう。
パーソナルブランドの場合、投資するとしても(たとえば、個人のウェブサイトを立ち上げることが有用だという判断に至るかもしれない)、大半は自分の時間の投資ということになる。たとえば、人脈の構築やコンテンツ制作(ブログの立ち上げなど)、社会的証明の確立に力を注ぐという判断になるかもしれない。
大切なのは、強力なパーソナルブランドの構築は、満足のいく形で達成するまでに何年もかかるプロジェクトだと認識することだ。たとえば、ロドリゲスは2012年以来、パーソナルブランディングに取り組み続けている。
クラークが著書『ロングゲーム』で書いているように、取り組み始めてから小さな成果を得られるまでに2~3年かかるのはよくあることで、有意義な成果を得られるまでには5年以上かかる。
実に長い道のりであるため、自分にとってパーソナルブランディングはそこまでする価値がない、あるいは少なくともいまはそれをする時ではないと判断することもあるだろう。その一方で、いずれにせよ時間は過ぎていくのだから、いま始めることが重要だという判断もあるかもしれない。
いずれにしても大切なのは、自分がどのような投資を行おうとしているのかを認識し、主体的に選択をすることである。