●リソースと成果物を具体的に考える

 プロジェクトマネジメントには、もどかしい面がある。プロジェクトは人間が実行するもので、自動化することはできない。そのため、パーソナルブランドの構築と管理に専念できる時間を十分に確保することが肝心だ。

 筆者らはほとんどの場合、プロジェクトに着手する前に、現在関わっている活動を1つか2つやめることを推奨している。たとえば、ボランティア活動の時間を減らす、スポーツ活動に参加するのをやめる、今年はイタリア語の勉強を諦めるといった具合だ。新しいプロジェクトに専念するための十分なリソース、つまり時間を確保することは、スタート時点において極めて重要である。

 また、あなたが責任を持つことになる成果物を理解することも大切だ。どのプロジェクトも、生産品や成果物という形で、何か(多くの場合、新しい何か)を生み出すために存在している。パーソナルブランドの強化というプロジェクトであれば、ポッドキャストを始める、ネットワーキンググループを立ち上げる、副業として地域の大学で教鞭を執るという形を取ることも考えられるだろう。

 ●計画を確定する

 最後に、いつどのように実行するかを問う必要がある。プロジェクトマネジャーが口を揃えて言うように、プロジェクトには自然の流れがあるからだ。

 プロジェクト開始時には、終了するのがずっと先のことに思えるため、チームにはリラックスした雰囲気がある。中間地点に近づくにつれて、期日までにあまり時間がないことに気づきストレスが生じ始める。終盤になると、メンバー全員が必死にもがきながらも、何とかプロジェクトを完成させようとする。

 このような作用を緩和するカギとして、プロジェクトマネジャーが実行すべきは、プロジェクトをいくつかの小さな成果物に分解し、それぞれに期限を設けることだ。

 週ごと、あるいは2週間ごとに完遂すべき最も重要な作業に仕事を分解して、その期間中で達成したことについて率直に話し合う。そうすることによって、チームは説明責任を持って、なすべきことに集中するようになる。週ごとに目標達成を誓い、結果を検証するという習慣を徹底することは、重要な作業に集中し、達成状況を明確に把握するのに大いに役立つ。

 定期的なスケジュールを組み込むのは、パーソナルブランディングのプロジェクトにおいても重要である。多忙な時でも、最重要タスクを見落とさずに済むからだ。

 たとえば、毎週、同じ曜日の同じ時刻にプロジェクトの進捗状況をチェックする。あるいは、毎週、同じ曜日の同じ時刻にブログに新たな投稿をする。毎週金曜日の午後は、ネットワーキングのためのコーヒータイムを予定に入れるといったことが挙げられる。

 このような小さな積み重ねによって、自分の習慣と他者の期待が構築されれば、あなたが創造しようとしているブランドは、より迅速に認識されるようになるだろう。

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 相手が自分をどう評価するかを、完全にコントロールすることは不可能である。それでも、説得力のある目的と意欲的な目標、現実的なタイムライン、明確な成果物が備わったプロジェクトとして、パーソナルブランドの構築を管理するならば、誇りに思える評判を築くことができる可能性は、大いに高まるだろう。


"Approach Your Personal Brand Like a Project Manager," HBR.org, May 13, 2022.