苦しんでいる従業員に思いやりと感謝の念を示す
多くのリーダーは、自分がチームを心から大切に思っていることを、もっと上手に伝える方法はないかと、いら立っている。
真摯に気配りするのではなく、「自分はたしかに気配りしているのだ」という証拠を示すことに必死になるリーダーがあまりにも多い。しかし、部下が本当に必要としているのは、もっとシンプルで、より実践的なものだ。そこで、リーダーができることを以下に紹介しよう。
●優先順位の見直しを手伝う
リーダーが部下を思いやっていることを示す最大のサインの一つは、レイオフで人員が削減された時、チームが仕事の優先順位を見直すのを手伝うことだ。「より少ない人数で、より多くの仕事をこなす」というパラダイムは、大量の人々が燃え尽き、仕事を辞めていく理由の一つになっている。
必要なのは「人員が減れば、成果も減る」という事実を受け入れることだけだ。そのうえで、必要のない業務はどれか、チームが見極めるのをサポートする。
人員や予算がカットされたにもかかわらず、これまでと同じ成果を期待すれば、「現場がわかっていない」と思われ、チームの仕事のすべてにおいて質が低下することは間違いない。どの業務を一時的に取りやめるか、あるいは完全になくすか、チームがきちんとした情報に基づいた助言を受けられるようにしよう。
●いつでも相談できる存在になる
リーダーは、自分が難しい決断を下さなければならなかった罪悪感や怒りから、チームに非難されたり、敵だと見なされることを恐れて、本能的に引きこもってしまうかもしれない。だが、みずからチームと距離を置けば、彼らの恐怖や敵意は増すだけだ。このような時こそ、リーダーはチームに歩み寄り、心から気にかけていることを伝えよう。
部下には定期的に声をかけて、調子を尋ね、何かサポートできることはないか確認する。最初は冷たい反応をされたり、警戒されたりするかもしれないが、それは予想の範囲だ。相手が望めば、いつでも言葉を交わし、相手の話に耳を傾け、自分の考えを共有すると、粘り強く伝える。
部下が心を開き、あなたに話をしようと決めた時には、注意深く、親身に耳を傾け、相手の話を引き出す質問をすることだ。答えを示すのではなく、質問を投げかけることによって、相手が状況改善に役立ちそうな選択肢を探すのを手伝う。もし具体的な助けを求められた場合は、自分にできることとできないことを、明確に伝えなくてはならない。
●献身と忍耐に感謝する
部下がどのような負担を強いられているかを理解していること、そして厳しい状況下で彼らが耐え忍んでいることに、感謝していると伝える。それぞれの努力がチームの業績に与えたポジティブなインパクトを具体的に挙げて、そうすることが適切であれば、公の場で感謝を示すことだ。
人は心身ともに疲れ果てると、自分は孤立していると思ったり、感謝されていないと感じたりしやすくなる。要求された以上に頑張ってくれた部下の働きをきちんと認めることは、彼らに「当然のことだと思われている」と感じさせないためにも、とりわけ重要だ。可能であれば、疲れ果てたチームメンバーが、仕事を離れて回復するための時間を持つように促そう。
●コミュニティを強化する
難しい感情であっても、それを誰かと共有することで、ダメージを小さくすることができる。人は恐怖や不安、苦渋を覚えると、本能的に引きこもりがちだ。そのため、実際に何が起きていて、チームメンバーがどう感じているかについて、オープンに話し合える場を設けることが欠かせない。
愚痴の言い合いになるとは限らないし、サポートグループであるかのように感じる必要もない。チームがどのような困難に直面しているか、部下はどこでどのように苦労しているか、オープンな会話を促そう。
人は自分と同じ課題や感情を抱えている人がいることがわかると、孤独感が薄れ、積極的に支え合うようになる。周囲に頼りになる人がいることがわかれば、希望と楽観が生まれるはずだ。