アマゾン・ドットコムや楽天市場、グーグルショッピングなどのオンラインプラットフォームは、いまや商品販売において欠かせない「売り場」である一方で、依存しすぎるとブランドを毀損する脅威にもなります。『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』の最新号(2022年12月号)では「プラットフォームを戦略的に活用する」という特集を組み、アマゾンを含めた大手プラットフォームとの付き合い方を考察します。

自社ブランドを
大手プラットフォームで販売すべきか

 アマゾン・ドットコムや楽天市場、グーグルショッピングなどのオンラインプラットフォームは、いまや商品販売において欠かせない「売り場」となりました。メーカーやブランドにとって、その顧客リーチや販売力は非常に魅力的な一方、依存しすぎるとブランドを毀損する脅威にもなります。価格圧力が常にかかり、差別化のための十分な顧客データも得られないためです。

 今号の第1特集「プラットフォームを戦略的に活用する」では、そうした大手プラットフォームとの付き合い方を考察します。

 1本目の論考は「アマゾンで自社ブランドを販売すべきか」です。アマゾン経由で商品を販売するかどうかを精緻に分析し、判断基準となるスコアカードを提示します。商品の特性や競争環境、ブランドコントロールの必要性などから本当にアマゾンで販売すべきかどうかを探ります。

 2本目の「企業が独自のプラットフォームを築く方法」では、アマゾンやグーグルに依存せずに、独自のプラットフォームを築いて成功した企業事例を紹介します。ナイキやボッシュ等の企業から、企業にとっての最適な戦略を導きます。

 特に、プラットフォーム参加者へ提供される価値を踏まえ、プラットフォームを4種類に分類したフレームワークは、それぞれの長短がわかり自社の戦略に当てはめやすいでしょう。

 3本目は、ライブコマースの可能性に着目した「ティックトックやタオバオを販売に活かす法」です。米国ではライブコマース市場が2023年に260億ドルとなり、21年対比で約2.4倍の急成長を果たす見込みです。

 企業にとっては、目先の売上げを伸ばし、新たな消費者セグメントに働きかけることもできます。ティックトックやタオバオなど中国の先進事例から、こうしたプラットフォームの活用法をお伝えします。

 4本目は、ワークマンの土屋哲雄氏による「ワークマンは店舗とファンの力で唯一無二のブランドを目指す」です。ワークマンは、楽天市場における学びを活かし、アマゾンに負けない戦略を徹底して実行しています。

 定価、配送、宣伝においてアマゾンに対抗するにはどうすべきでしょうか。ワークマンは、PB商品の展開やアンバサダーの効果的な活用、無駄を省いた「しない経営」などの徹底を行って、圧倒的な競争優位性を築いています。100年先を見据えた独自戦略を惜しみなく明かします。

 大手プラットフォームの活用は短期的に見れば企業の成長に寄与するものの、ブランドや商材によっては、それが最善の選択というわけではありません。今号をヒントに、改めてその付き合い方を検討してみてはいかがでしょうか。

 さらに今号では、Web3の入門的な論考やDAO(分散型自律組織)の課題と可能性について記載した、第2特集「Web3はどこに向かうのか」も用意しました。

 是非、ご一読ください。

(編集長 小島健志)