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リモートやハイブリッド、分散型の働き方が浸透する中で、会議の方法は大きく変化している。だが、必ずしもうまくいっていないようだ。そこで筆者は、会議を開く際「いつ、どこに集まるか」からではなく、「なぜ集まるのか」を起点に考えるべきだと説く。本稿では、会議の目的を問う意味について述べるとともに、会議を目的別に3つに分けて、それぞれの成功条件と具体的な進行方法を解説する。

会議は形式ありきではなく、目的から形式を導く

 会議は崩壊してしまった。2020年に始まった新型コロナウィルスの急拡大で仕事がオンラインに移行した時に何かが起き、オフィス再開後も元通りにはなっていない。同僚とのやり取りはすべてビデオ通話になった。日々の業務はまるでパズルゲームのテトリスのようだ。この会議やあの会議をどこにはめ込めばよいのだろうか。最近では何曜日にどこで働くかが会社の方針で規定されるようになり、テトリスはいっそう複雑になった。

 筆者は、分散型やハイブリッド型の組織の成功を支援する仕事をする中で、ほとんど人がいないオフィスで過ごしたり、待機するためだけに出社したりしている従業員を見かける。フレキシブルな勤務というより新たな束縛のようで、意図していた人間関係の構築には役立っていない。むしろ、対面とオンラインの両方の世界における最悪の面が現れている。

 よい方法があるはずだ。いつ、どこに集まるかに焦点を当てるのではなく、なぜ集まるかをまず考え、そこからロジスティックス(会合の運営方法)を導き出すのである。筆者は、人間関係を再構築して複雑な共同作業を強化したいと相談を受けると、最初に根本的なアドバイスをする。新しい働き方のポイントはオフィス勤務かリモートワークかではなく、会合の3つのタイプそれぞれに最も適した条件を考慮することである。

会合の3つのタイプ

 なぜ会議ではなく「会合」と呼ぶのかというと、名称は目的を示唆するからである。「会議」というと、会議用テーブル(またはオンラインの同様のもの)を囲んで話し合い、きっちり議題が定まっているという意味合いが強い。一方で「会合」には複数の目的があり、時間を定めてリストにある仕事を次々とこなす場であるという考えが表れている。

「業務処理型の会合」は仕事を前進させ、「関係形成型の会合」はつながりを強化し、「適応型の会合」は、複雑な問題やデリケートな話題に取り組むのに有用である。オンラインで実施しやすいのは業務処理型の会合のため、関係形成型と適応型の会合は頻度が減ってきている。コロナ禍以前から、3タイプの会合にはそれぞれ欠点があったが、いまこそ設計を見直して再度導入すべき時である。

 以下では、この3つのタイプの会合に最も適した条件を見ていく。筆者は分散型およびハイブリッド型の職場環境に焦点を当てているが、ここで学ぶことはどのような組織でも応用できる。