対面でつながる機会を最大限に活かす3つの条件

 とはいえ、人々が直接会ってつながる機会を求めていることは確かだ。最近の調査では、パンデミック後、従業員の3分の2が対面での仕事やコラボレーションの機会を望んでいることがわかった。

 また、彼らは「思いやりのある」文化の一員でありたいと考えていることも明らかになっている。人の思いやりを感じさせる温かさや共感は、物理的に一緒にいることで、より明確かつ強力になる。なぜなら、言葉、声のトーン、表情、ジェスチャー、ボディランゲージなど、コミュニケーションの手がかりをすべて自由に使うことができるからだ。手を触れたり、ハグをしたりすることも(適切かつ歓迎される場合であれば)可能だ。

 対面でつながりを持つ機会を最大限に活かすには、それを自発的、戦略的、そして意図的なものにする必要がある。

 ●自発的

 従業員にとって何が最善であるかをわかっているつもりでも、従業員がそれを望まないならば、無理に集合させてはいけない。従業員自身が自分にとって最善だと思うことを尊重し、いつ、どこで対面の集まりを再開するかは、従業員の快適さのレベルや状況に応じて、彼ら自身が決められるようにすべきだ。

 自律性と選択の自由があると感じることは、以前から人間の基本的な動機づけとして認識されており、それらをより多く提供する企業は、人材獲得競争において優位に立つことができる。筆者らの実体験でもパンデミック後、学習者の約半数以上が、機会を与えられたとしても、対面の学習に戻ることを望んでいないことがわかっている。

 リーダーは、次のように自問すべきだ。「従業員の半分に背かれるリスクを冒してまで、対面であることが必要とされていると、私は確信できているか」

 ●戦略的

 会社以外に共通点を持たない人々は、たいていの場合、イベントで知らない人々とつながりを持とうとすることがない。そして彼らは知り合いと過ごすことが圧倒的に多い。

 親しくない人々が集まり、その場で短時間の体験を共有することで、新たな結びつきが生まれることもある。しかし、筆者らの経験では、このような交流は概して友好的ではあっても、本質的なものではない。

 対面で行うイベントの真の価値は、特に一緒に仕事をするチームにとって、既存のつながりを深めることにある。

 そこでは、相手に対する尊敬、好意、共感を伝える信号である「ソーシャルシグナル」を送る機会があり、物理的にその場に存在することで、笑顔、持続的なアイコンタクト、ジェスチャーなどを通して、それを増幅させることができるという利点がある。これらのシグナルは「重要な共通点がある」「頻繁に一緒に仕事をする」「共通の目標がある」など、実質的なつながりを持つ人々にとって最も重要なシグナルだ。