●神話3「従業員は、画面から離れる機会を必要としている」
人々がバーンアウト(燃え尽き症候群)や過労を感じていることは間違いない。一日中画面を見続け、バーチャル会議が繰り返される毎日に耐えることは、疲れの蓄積につながる。
とはいえ、彼らをカンファレンスセンターに送り出し、3日間「エグゼクティブプレゼンス」について学ばせることで、従業員のワークライフバランスやメンタルヘルスに関する重大な問題を解決できるという考えは、率直に言ってばかげている。
自分の部下が毎日、あまりにも長時間画面を見続けているのであれば、「頻繁」かつ「毎日」画面から離れるように促すべきだ。しかし、何日にもわたる学習プログラムやイベントに参加すると、仕事やメールが溜まって、より大きなストレスを感じる人が少なくない。従業員のウェルビーイングに対する解決策は、1回限りの対面式ワークショップを開くことではなく、長期的なアプローチでなければならないのだ。
●神話4「人脈の構築や相手とのつながりは、対面でなければできない」
この神話は、ある種のリスク回避による直接的な結果である。やり方がわからなければ、「不可能だ」と言って終わらせるほうが簡単なのだ。
私たちが主に対面で行動していた時には、明確な規範と認知スキーマがあり、あまり親しくない人との交流の仕方についても、暗黙の「台本」があった。私たちは生涯を通じて、他者のやり方を観察し、そこから情報を吸収してきた。
パンデミックの初期、バーチャルで人と知り合うことは、特に初めてそれを試みる人々にとっては極めて奇妙で落ち着かないものであったことは確かだ。私たちは、途方に暮れていた。
カメラはオンのままでよいか。話している人の顔を見るべきか。もし見なければ、相手にそのことを気づかれるか。会話が気まずくなったら、どう弁解すればよいのか。「手を挙げる」機能を使って発言すべきか、それとも単にミュートを解除すればよいのか。自分の子どもが後ろで走り回っていても、本当に問題ないのだろうか。
バーチャルでのネットワーキングや新しい人間関係の構築は、多くの人にとってまだ「完全に自然なこと」とはいえないが、パンデミック初期のように、慣れずに動揺するようなことは、なくなっているようだ。
筆者らは長年、ほぼバーチャルで仕事を行い、その過程で同僚と永続的かつ親密な関係を数多く築いてきた。もう少し時間をかけ、練習を重ねれば、新しいコミュニケーション方法が誕生するたびに人間が行ってきたことができるようになるだろう。携帯電話、メール、テキストメッセージ、ソーシャルメディアに初めて触れた時を思い返してみてほしい。私たちは新しいやり方に慣れて、コツをつかむことができるはずだ。