「自信を持ちなさい」という言葉は女性に対する凶器になる
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サマリー:女性が仕事で成功するためのアドバイスとして、自信に満ちた態度や行動を取ることが推奨されることが少なくない。だが、たとえ善意の助言であっても、それが女性を攻撃する凶器になっていると、筆者らは指摘する。目... もっと見る標を達成できない時には「自信がないからだ」と言われ、逆に外向的な振る舞いをしたり自己主張をしたりすると「本当は自信がないのか」と思われる。その結果、女性は自分自身を責め、自尊心を弱め、さらに自信に対する自己認識を損なうという負のスパイラルに陥ってしまうからだ。本稿では、過度な「自信」重視がどのような弊害をもたらし、ジェンダー平等を遠ざけるのかを論じたうえで、リーダーが具体的にどう対処すべきかを説明する。 閉じる

女性が陥る「負のスパイラル」

 女性は、キャリアアップや昇給、仕事で成功するためには「自信を持ちなさい」と常々言われている。

 自己啓発本を見ても、「目標を達成するには、一歩踏み出せ」「自分の意見や権利を守り抜け」「しっかりとアイコンタクトを取れ」「自信のある声や姿勢やジェスチャーを心掛けよ」といった言葉が並ぶ。さらには「フリでも続けていれば本物になる」といった具合に、自信に満ちた態度や行動を取ることが推奨されている。

 女性は、これらすべてを行いながら、相手に高圧的で強引で支配的な印象を与えないように、優しい好人物を演じ続けなければならないという、非常に難しいバランスを強いられている。

 表向きには、自信に性別は関係ないとされるが、筆者らの調査では、自信が性別に関係あるばかりでなく、女性を攻撃する凶器にもなっていることが明らかになった。

 女性がキャリア目標を達成できない時、リーダーはその原因を自信のなさに求める傾向が見られた。逆に、女性が外向的な振る舞いや自己主張をすることで自信を示すと、皮肉なことに、やりすぎてかえって自信がないのかと思われてしまうリスクを抱えていることもわかった。

 結果はどうあれ、女性がキャリアアップできないのは女性自身に責任があると非難され、他の過小評価グループと同じように攻撃される。その結果、女性はみずからを責め、自尊心を弱め、さらに自信に対する自己認識を損なうという負のスパイラルに陥ってしまうのだ。