マーケターが景気後退の局面で取り組むべき6つのアクション
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サマリー:景気後退局面において、マーケティング予算はすぐさま削減の対象になりやすい。不安定な株式市場、長引くサプライチェーンの問題、戦略的な雇用の凍結やレイオフ、インフレ懸念、個人消費の冷え込み……経済が転機を... もっと見る迎えると、短期的な成長指標が優先されがちだが、単にマーケティング費用を抑制すれば問題が解決するというわけではない。本稿では、短期的にも長期的にも有意義な経済価値をもたらすために、マーケターがいますぐ検討すべき6つのアクションを論じる。 閉じる

景気後退期にマーケターは何をすべきか

 あなたがCMO(最高マーケティング責任者)なら間違いなく、自分自身もチームも代理店も、現在の経済的不確実性に不安を抱いていることだろう。モバイルマーケティング協会(MMA)の過去のデータは、広告費とGDP成長率のような経済指標の間に、密接な相関関係があることを示している

 もっとも、それ以上に重要なのは、経済が転機を迎えるとマーケティング予算がすぐ削減対象になりやすいことを、マーケターが経験的に知っているという点だ。

 それゆえ、不安定な株式市場、長引くサプライチェーンの問題、戦略的な雇用の凍結やレイオフ、インフレ懸念、個人消費の冷え込みといった状況下では「マーケターはいま、何をすべきか」が大きな問題となる。

 まずは、一歩引いて考えてみることが重要だ。この景気後退の度合いやその期間は、業種や地域によって大きく異なる可能性が高い。

 マーケターがどのような立場にあるかにかかわらず、顧客獲得にコストがかかることはわかっている。そのコストは、獲得済みの顧客を維持するコストの5倍、あるいはそれ以上との見方もある。解約コストをどう見るかは別として、生涯価値(LTV)と顧客関係を重んじるマーケターは、顧客の再獲得が困難でコストがかかることが証明された2007~09年の世界的不況の失敗を繰り返したくはないはずだ。

 また、厳しい環境がイノベーションの源泉になることも忘れてはならない。パンデミックの間に、生産的なマーケティング上の進化が数多く生み出された。より機敏な予算配分から、マーケティングとeコマースをつなぐデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速まで、その多くは長年にわたって先延ばしにされてきた課題だった。

 短期的な危機の場合は特に、「マーケティング費用を削減すればよい」という単純で反射的な対応は見当違いかもしれない。とはいえ、最高経営幹部が直面している財務面のプレッシャーは極めて深刻かつ現実的なものだ。

 本稿では、メディアおよびマーケティングの分野でさまざまな景気サイクルを経験してきた筆者の体験に基づき、CMOが景気後退局面に直面した時に検討すべき6つのアクションを紹介しよう。