
人生は勇気の大きさに応じて、拡大も縮小もする
あなたは、自信を持てなかったために、重要な役職に就いたり、抜擢されることを遠慮した経験がないだろうか。
おそらくは「まだ準備ができていない」「まだ能力が十分ではない」「まだ経験が足りない」と、内なる批評家に止められたからだろう。あるいは「どうして私が」という否定的な声が、頭の中で鳴りやまなかったからかもしれない。
思い当たる節があるとすれば、それはあなただけの話ではない。同様の経験の持ち主は、筆者がこれまで一緒に仕事をしてきた女性の間では多数派といってよい。
筆者は最近、米国、英国、オーストラリア、ジョージア、イタリア、インド、ジャマイカ、英国領バミューダ諸島などの女性120人超に、次のように尋ねた。「これまでにリスクを避けた経験があるとすれば、そうした選択をした要因や理由は何ですか」
この問いに対して、70%以上が「自分を信じられなかったこと」を主な要因として挙げた。自分自身に対して、つまりは自分の能力やスキルに対して、十分な自信を持てなかったことが理由だというのだ。
ある有名な経営幹部は、筆者に次のように語った。「日々、自分のことを疑わずにいられません。いま就いている地位にふさわしい能力を、本当は持っていないのではないか、という思いが消せないのです」
これは、けっして意外なことではない。人が自信を喪失しやすく、そのために行動を起こせない場合が多いことは、よく知られている。特に女性の場合は、その傾向が強い。
コーネル大学とワシントン州立大学の心理学者が行った研究によると、女性は男性に比べて、自信を喪失しやすいという。別の研究では、男性は自分が求人の採用条件の6割を満たしていれば応募するのに対し、女性はすべての条件を満たしていないと応募しない場合が多いことも示されている。
さらに別の研究では、自己宣伝に関して男女間で著しい違いがあることが明らかになっている。女性は男性に比べて、自分の過去の業績と将来の潜在能力について、厳しい評価を下す傾向が一貫して見られるのだ。その結果、男性は女性よりも思い切った賭けに出やすく、長期的には賭けに出ただけの利益を手に入れている。