自信を強めることより、勇気を強めることを目指す

 このように女性が自信を持ちづらい傾向は、さまざまな学術研究に加えて、筆者の交流関係やコーチングの経験でも繰り返し見られている。しかし、これまでの経験を通じて、筆者が気付いたことがもう一つある。

 成功している女性は、自分の資質に対する疑念を振り払えなくても、それによって成功を妨げられてはいなかったのである。成功している女性リーダーの大多数は、自分の能力への不信を感じつつも、活力があり、充実したキャリアを築いていたのだ。

 そのような女性に共通するのは、自信は持てなくても、勇気は持っていたことだ。自信の欠如は、しばしば女性を批判する材料として用いられており、女性がキャリア目標を達成できない理由として挙げられることも多い。

 しかし、筆者の経験からは、キャリアで成功を収めている女性は、不安や疑念の中で「自分は準備ができているのか」と疑念を抱きつつも、勇気を奮って行動を起こし、前に進んでいる。

「私たち女性は往々にして、前に進むには、準備が100%整っていなくてはならないと思いがちです。しかし、50%あるいは75%準備ができていれば、思い切って飛び込んでみる。とにかく、やってみるしかないのです」と、ボストン市の女性地位向上局でエグゼクティブディレクターを務めたミーガン・コステロは述べている。

 勇気を奮って行動を起こすことには、予期せぬ恩恵もある。勇気を持って行動すると、その副産物として自信が生まれるのだ。筆者が話を聞いた経営幹部は、あらゆる試練と向き合い、乗り越えるごとに、自信が強まっていったと語っている。

「大きな権限を持つにつれて、自分を信じられるようになりました。ついには、一つのブランドの事業を統括する責任者を務めるまでになりました」と、ベーカリーチェーン、ブリオッシュドーレ米国の元社長であるジュリー・ハウザー=ブラナーは述べている。

 女性は、自信に関する自分の内なるナラティブを変えようとするのではなく、勇気に関する自分の内なるナラティブを変えることに力を入れることにより、自信を持てず、恐怖心を抱きつつも、勇気ある行動が取れるようになる。以下では、その出発点となりうる3つの戦略を紹介しよう。