プレモータムを実施する方法
プレモータムは、特定のプロジェクトや目標、イニシアティブについて、あらかじめどのようなリスクがあるかを見極め、軽減するためのものだ。失敗する可能性のある事態について、単に想像するだけではなく、「前知恵」と研究者が呼ぶもの、すなわち具体的な成功や失敗をすでに現実に起きたものと想定することが求められる。
実際、成功した未来の状況、もしくは失敗した未来の状況を自分自身やチームが想像することによって、その原因を正確に特定する能力が30%向上することが明らかになっている。
つまり、プレモータムとは、タイムマシンに乗り込んで未来に向かい、現実にはまだ起きていない事象を「すでに起きたもの」として扱い、ポストモータムを行うことなのだ。
たとえば、パンデミックが始まった当初、筆者は同僚とともに、自分自身とクライアントに次のような問いかけをした。「いまから1年後、私たちはパンデミックへの対処について、自分たちにA+の評価を下している。この評価を得るために、何をしてきただろうか」
同様に、採用候補者の面接で筆者が好むのは、次のような質問だ。「いまから6カ月後を想像してください。仕事がうまくいっていません。主な原因は何だと思いますか」。失敗について想像する場面では特に、このような質問に答えることで、色メガネを一時的に外し、将来的に問題化するような些細な疑問や懸念を、具体的な言葉にせざるをえなくなる。
プレモータムではまず、今後1年間のチームの具体的な目標や取り組みを明確にすることが理想的だ。そうすることで、より焦点を絞った具体的な議論が可能になるだろう。
【質問すべきこと】
いまから1年後に、ポストモータムを行っているとする。
●目標A、B、Cを達成できた、またはそれをはるかに上回る成果を上げた場合
・成功につながった主な要因は何か。
・それ以外にどのような要因があったか。
●目標A、B、Cの達成に失敗した、または届かなかった場合
・失敗につながった主な原因は何か。
・それ以外にどのような要因があったか。
次に、現在に話を戻す。
●成功に最も貢献すると特定された要因を現実のものにするには、どうすればよいか。
●失敗の最大の原因と特定されたリスクに対処し、それらを軽減するためには、どうすればよいか。