
年の切り替わりを、学びを得る機会にする
新しい年のスタートは、自分自身を振り返り、学びを得る格好の機会だ。それが、次の1年間に改善を重ねていくための土台となる。
もちろん、みずから学習と成長のために、個人単位でこの機会を活用することもできる。その一方、チーム全体で「ポストモータム」(事後分析)、さらには「プレモータム」(事前分析)にも取り組むことができれば、チームに学びの文化を浸透させ、心理的安全性を築き、士気を高め、チームの結束を強化し、さらなる成果を生み出す機会となる。
その名の通り、ポストモータムとは過去を振り返る作業、プレモータムとは未来について考える作業を指す。どちらも通常は個別のプロジェクトごとに行われるが、前年のチームの目標や取り組みに関する達成度や進捗状況、あるいは進捗がなかった状況から学びを得て、今後のパフォーマンスのリスクを特定し、それらにあらかじめ対処するにも、年の始まりというのはよいタイミングだ。狙いはどちらも、今後1年の目標や取り組みが成功する可能性を高めることにある。
ポストモータムとプレモータムは別個の作業だが、大規模なオフサイトミーティングの場で、2つのセッションとして実施することも可能だ。理想を言えば、2つのセッションの間に内省の時間を確保できれば、さらに洞察を深められるかもしれない。
本稿では、あなたとあなたのチームが対話の生産性を最大限に高めるために参考になりそうな成功事例をいくつか紹介しよう。この1年を通して、あなたが学びを得て、チームを成功に導く助けとなるはずだ。
セッション前にすべきこと
外部のファシリテーターを検討する
予算が許すのであれば、外部のファシリテーターにセッションの進行を委託することをお勧めする。そうすることで、チームリーダーがファシリテーターではなく、一人の参加者としてセッションに参加できるだけでなく、グループの討論やセッションという場のダイナミクスを、専門家の視点で管理してもらうこともできる。
なかでも、スキルの高いプロのファシリテーターは、その場の感情面の「温度」を調整し、チームが話題から逸れないようにセッションを進め、必ず全員が発言して周りの人に話を聞いてもらえるように目配りしてくれるため、セッションからより多くの明晰な学びを得られる。
事前にセッションの課題を伝える
セッションの数週間前にプレワーク(事前学習)として、議論することになる質問をチームメンバーに提示する。そうすれば、それらの質問と向き合い、じっくりと考えたうえで回答するために必要な時間を確保できる。
このアプローチは特に、物事をじっくり考えたうえで議論することを好む内向的な人に有効だ。また、事前に質問を共有しておくことで、当初の自分の考えを記録しておき、後で立ち返って、さらに考えを深める余裕を持つこともできる。一度にすべてのアイデアが思い浮かぶとは限らないからだ。