
リーダーは2023年も
多くの難題に見舞われる
2022年は、企業の出社再開をめぐる方針がころころと変わり、従業員の離職率が上昇し、バーンアウト(燃え尽き症候群)に陥る従業員がこれまでになく増えるなど、ビジネスリーダーたちは予期せぬ課題に次々と直面した。
2023年も、組織は多くの難題に見舞われるだろう。人材獲得競争の激化や、従業員の疲弊、不況が忍び寄る中での経費節減圧力などだ。こうした問題にどう対処するかが、優れた雇用主かどうかを決める可能性がある。
本稿では、筆者らが勤務するITコンサルティング企業ガートナーの調査に基づき、リーダーが2023年に重点的に取り組むべきと思われる課題を9つ紹介する。
1. 企業は必要な人材を「静かに採用」する
2022年後半は、仕事で求められる必要最低限のことしかしない「静かな退職」(クワイエット・クイッティング)という概念が雇用関連のニュースを独占した。従業員が「静かな退職」をする会社は、従業員の数は維持できるが、スキルや能力を失ってしまう。
優れた企業は2023年、この状態を一新し、フルタイムの従業員を増やさずに新しいスキルと能力を獲得する方法として、「静かな採用」(クワイエット・ハイヤリング)を行うだろう。これは、以下のような形によって行われる。
・社内の人材の流動性を高めて、組織が最も必要とする領域に従業員を異動させる。ポジションの変更に応じた従業員に対し、企業は単発のボーナス支給や昇給、有給休暇の追加、昇進、柔軟な働き方の拡大などを行う。
・従業員が変わりゆく組織のニーズに対応できるように、具体的なスキルアップの機会を提供する。
・増員ができない場合は、元従業員のネットワークやギグワーカーといった代替手段を活用して、重点タスクをこなす能力を持つ人材を確保する。
2. ハイブリッドワークを現場従業員にも認める
デスクワークを行う従業員のハイブリッドワークが恒常化しつつある中、製造業や医療などの現場で働く人たちにも、同じように柔軟な働き方を認めるべき時が来ている。ガートナーが2022年に405人の現場マネジャーに対して行った調査によると、現場従業員を雇用している企業の58%が、過去1年間に従業員体験の向上に投資したと答えた。まだ投資を行っていない企業の約3分の1も、今後1年以内に投資するつもりだと答えている。
筆者らの調査によると、現場従業員たちは、業務内容や働く仲間、そして仕事量に関して、柔軟性を求めている。とりわけ、勤務スケジュールの決定権と安定性、そして有給休暇を求めている。