顧客の経済面の目標実現をサポートする

「クーポンを利用し、セールを探し、衝動買いをしないように気をつけるつもりだ。本当に必要なものだけを厳選したい」

 インフレが進み、景気後退の気配が迫る中で、回答者の多くは経済面での新年の誓いを実現するために、貯蓄を増やし、支出を減らし、借金の返済を進めるつもりだと答えた。ある回答者は「支出を減らすつもりだ。食料品の購入を減らし、浮いた分を住宅ローンの元本返済に充てたい」と回答している。

 懐事情への意識が高まっている人々を惹きつけるために、プロモーションや割引、クーポン、柔軟な支払い方法などの導入を検討しよう。たとえば、家庭用品のエブリシング・キッチンは新年セールを開催し、セール品を活用して「目標を実現しよう!」と消費者に呼びかけた。

 音響機器のボーズも「新年を楽しむための新たな割引」を打ち出して、同様のプロモーションを実施している。早起き割引やグループ割引などのユニークな料金体系で、新規会員の獲得を目指すスポーツジムも多い。

 また、少しでも多くの人にプロモーションが届くように、ターゲットを絞った広告キャンペーンや他ブランドとの提携、さらには「ザ・ディール・ガイ」のようなソーシャルメディアのインフルエンサーとのコラボレーションを検討することもできるだろう。

価値を重視する

「買い物をする時は常に、真の価値に着目したい。絶対に必要というわけでもないものの購入は控え、自分にとって価値があるものだけにお金を使うつもりだ」

 値段を意識する一方で、今日の消費者は必ずしも安いものを求めているわけではない。それどころか、真の価値をもたらし、目標の実現に役立つような商品やブランドへの出費は惜しまないことが、筆者らの研究で明らかになっている。ある回答者は「その商品が目標の実現に役立つのなら、喜んで買う」と語った。「実際に使ってみて、目標の実現に役立つとわかれば、その後も継続して購入するだろう」

 筆者らの調査では、実に回答者の75%が健康面の目標達成に向けて支出を増やすことになるだろうと考えており、「運動器具を買う」「スポーツジムに入会する」「スーパーで食料品を買う時は、健康的で値段が高めのものを選ぶ」などと答えた人も多い。

 ある回答者は「残念ながら、健康的な食生活には金がかかる。健康的な食品はジャンクフードより高くつく」と嘆いた。このように相反する目標の間のバランスを取るために、多くの人が健康的なライフスタイルを促進してくれる商品や「お得」な商品への支出を増やし、ジャンクフードや贅沢品への支出を減らすつもりだと答えている。

 では、価値への意識が高まっている顧客層に対して、ブランドはどのような価値を提示できるだろうか。品質への投資は常に重要だが、小売業者にとっては既存製品に付加価値を加え、その価値を顧客に伝える方法を見出すことも大切だ。

 たとえば、スキンケアブランドのワン・スキンは、フィットネスが長寿と肌の健康に与える影響について、ヘルスコーチの指導を受けられる無料のウェビナーに顧客を招待している。サプリメントブランドのバイタルプロテインズは、自社製品のさまざまな使い方を紹介した新年のレシピリストを購読者にメールで提供した。

 このようなコンテンツは、顧客に付加価値を提供するとともに、自社の主力製品の価値をあらためて認識させる素晴らしい手法である。