
「新たなスタート」がもたらす影響を理解する
多くの人にとって、新年は「新たなスタート」を意味する。健康や人間関係、経済状況、あるいは自分にとって大切な何か。中身は何であれ、毎年新年の誓いを立てることは、人生をよりよく変えていくための格好の機会となる。
このような新年をめぐるマインドセットは、企業にも新たなビジネスチャンスをもたらすが、人々のニーズや優先順位が変化するため、新たなリスクを生み出す可能性もある。人々が自分の目標を見つめ直し、今後数カ月間に進む方向性を決めるこの重要なタイミングで、小売企業はどうすれば、消費者を惹きつけることができるのか。
今日の消費者が、どのように新年の決意を立てているのか理解を深めるため、筆者らは2022年の最終週に、多様なバックグラウンドを持つ米国の成人500人を対象に調査を行った。その結果、3人に2人が2023年に向けて少なくとも一つの目標を立てるつもりだと答え、複数の目標を立てると答えた人も半数を超えた。
さらに詳しく見てみると、最も多いのは健康面に関するもので、回答者の58%が「運動を増やす」、55%が「もっと健康的な食生活」、54%が「体重を減らす」を目標に掲げていた。
次に多かったのは経済面に関する目標で、回答者の42%が「貯蓄を増やす」、41%が「借金を返済する」もしくは「生活必需品以外の買い物を減らして、支出を減らす」と答えた。具体的には「低価格のノーブランド品を買う」「衝動買いを減らす」「高価なものを買う前によく調べる」、スポーツジムの会費を払う代わりにウォーキングをしたり、フィットネスアプリを使う、あるいは外食せずに料理をするなど「価格の安い代替手段を探す」といったことだ。
最後に、回答者の21%が「新たなスキルを習得する」「趣味の時間を増やす」「整理整頓をする」といった個人的な改善点を目標に掲げていた。一方、社会的な目標や仕事に関する目標を挙げた人は相対的に少なく、「友人や家族と過ごす時間を増やす」と答えたのは回答者の18%だった。「ソーシャルメディアに費やす時間を減らす」は12%、「ワークライフバランスの改善を目指す」も12%で、「仕事のパフォーマンス向上」を掲げた人はわずか8%だった。
今日の消費者が重視する目標が、幅広い領域にわたることは明白だ。だが、そのような多様性があるとはいえ、筆者らが収集したデータから、企業が顧客の優先順位の変化に対応し、彼らの新年のマインドセットにアピールするための戦略を見出すことができる。