2. 働く場所の自分にとっての意味を評価する

 この評価には、内観が必要だ。前述の働く場所に対する評価の回答を踏まえ、物理的な環境が仕事上で目指す姿をどのように反映し、可能にするかを考える。あなたの働く場所は、どのようなアイデンティティに基づく動機を満たすのか、あるいは満たさないのか。あなたのアイデンティティのどの部分を可能にし、妨げているか。自分が望むように他者から評価されていると感じるか。この場所で自分がどのような人間になるのかとワクワクするか、それとも自分が切り捨てようとしている過去の自分に囚われてしまうか。その環境には、違和感を覚える側面があるか。

 たとえば、あなたのアイデンティティの一部が「自然愛好家」である場合、たとえ写真でも緑が見える、あるいは緑と触れ合える働く場所に最もつながりを感じ、生産的になれるかもしれない。逆に、都会の真ん中にあるオフィスでは、コンクリートジャングルに閉じ込められているような感覚に陥り、最高のクリエイティブな自分からかけ離れていると感じることもあるかもしれない。

 では、理想の働く場所を想像してほしい。それは過去、現在、そして理想の未来の自分のどの部分を反映しているか。チームリーダーの自分、クリエイティブな自分、あるいは協力的な自分といったアイデンティティを表現し、活かすのに最善の場所はどのようなところか。一つの働く場所で自分のさまざまな部分とつながることもあれば、複数の働く場所の集まりでさまざまな自分を実現できることもある。

 たとえば、スイス発のブランド「オン」のチューリッヒオフィスは、従業員が同じ建物内で自分のさまざまな部分を活性化し、活かせるように特別にデザインされている。自然、運動や健康とのつながり、現代性、革新性を刺激する内装だ。オフィスのフロアは、テーマごとに「ネイバーフッド」と呼ばれるエリアに分かれ、それぞれに集まって交流するための専用フロア「ビレッジスクエア」がある。共同作業のためのフロアや、個人で集中して仕事をするためのフロアも用意されている。

 未来に目を向け、自分がどのように成長したいのか、自分のどの部分が注目と「スペース」を必要としているのか、そして、さまざまな働く場所がその達成にどう役立つかについてブレインストーミングをしよう。前のセクションで紹介したカテゴリーのうち、改善の余地があるのはどこか。アイデンティティに基づいたアプローチで、現在の自分となりたい自分を評価することで、場づくりに重点的に取り組むことができる。

3. 行動する

 いまの自分となりたい自分をうまく反映できる場所を実現するために、場づくりをする。現在の働く場所の空間で仕事ができるのか、それとも自分のアイデンティティに基づく動機と目標を達成できる新しい空間(ホームオフィスやその他のスペース)を見つける必要があるだろうか。

 どの働く場所にもさまざまな制約があるが、たいていは少なくともその中で微調整をする方法がある。たとえば、自宅にプライベートオフィスがなくても、じゃまされない時間を設けることを家族と話し合うことができる。固定した壁などのないオフィスなら、にぎやかなエリアから離れた個室に移動し、ノイズキャンセリング付きのヘッドホンを使用することもできるだろう。

 働く場所を形づくるためのアイデアをいくつか紹介しよう。