1. アドバイザーを多く雇うと、意思決定が遅くなる
あるインタビューによると、「買収で最も重要なのは、正しい情報を正しいタイミングで得ること」だそうだ。部屋に多くの者がいると、意思決定のプロセスが遅くなり、結果的にディールに支障を来すことになる。
2. アドバイザーの数が増えれば、漏えいの可能性も増える
M&Aは「慎重さが重要」である。成功のカギは、価格や条件、さらにはディールの存在といった機密情報を非公開にすることである。しかし、インタビューによると、関係者間の「バックチャンネル」によって、どんなによい意図があっても、必然的に「人が多ければ多いほどリークが増える」ため、発表前にディールにダメージを与え、あるいは破壊する可能性があると述べている。
3. 中途半端は最悪の選択肢になりかねない
複数のアドバイザーから相反するアドバイスを受けると、エグゼクティブは(あるいはアドバイザー自身も)、それぞれの視点を取り入れた中庸の立場を探らざるをえなくなることが往々にしてある。
しかし残念なことに、この折衷案は、どちらかのアドバイスが単独で行われるよりも効果が低い場合がある。あるインタビューによると、「2社のアドバイザーが一緒になって一つのアドバイスを出すと、妥協しなければならず、互いに引き算をすることになる」のだという。相反する複数のアドバイザーからの意見をバランスよく取り入れることは、その合計を上回るどころか、単に一人のアドバイザーに従うよりも価値を下げてしまいかねない。
4. 人が多ければ多いほど、エゴが出る
最も重要なことは、複数のアドバイザーがいる場合、エゴと政治が絡んでくるということである。私たちのインタビューに答えてくれた人たちは、アドバイザーが「互いに競争し、互いに出し抜こうとし、トップに立とうとする」ことになったと述べている。
あるマネジャーは、同じ買収案件を複数のアドバイザーが担当することは、子どもを相手にするようなものだとも言った。「彼らはいつもパイの分け方で喧嘩しています」と、そのマネジャーは説明した。「時には、彼らを脇に引き寄せて、仲良くさせなければならないこともあるのです」
混雑したキッチンを管理することは可能である
このような課題は理解できる。結局のところ、アドバイザーは直接の競争相手であることが多いので、それぞれが個別に価値を高めることはできても、効果的に協力し合うためのルーチンやインセンティブが整っていないのは当然のことである。
しかし、今回の調査では、複数のアドバイザーが必要な状況や、その恩恵を受けられる状況であれば、こうした落とし穴を克服することが可能であることも示唆された。もちろん、共同作業に慣れていないアドバイザーチームを効果的に管理することは、並大抵のことではない。
しかし、筆者らは、エグゼクティブが複数のアドバイザーと仕事を進める際に、成功の可能性を最大化するのに役立つ6つの戦略を特定した。