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社会のために行動する人へのメッセージ
──前回までの記事:
なぜESG界の大御所ジョージ・セラフェイムは、企業の社会善に注目したのか(連載第1回)
パーパスを重視する企業は、競合他社より高い株式リターンを得られる(連載第2回)
企業による社会貢献と営利の追求は必ずしも矛盾しない(連載第3回)
「パーパスと利益の両立」は簡単に実現できない理由(連載第4回)
本書『PURPOSE+PROFIT パーパス+利益のマネジメント』は基本的に、人間について、人間のために書かれた本である。起業家、専門職の若者、中間管理職、経営幹部、投資家などの立場で、社員や地域社会のために尽くしたり、環境問題や格差問題、その他の国際問題に対処したりと、さまざまな社会的影響を及ぼしつつ、たんに他人をより幸福にするためだけでなく、事業の成功を目指してそうしたことを行っている人々についての本だ。
本書の狙いは、「なぜ」善行によって一部の企業が過去にないほどの高みへ到達できるのか、そうした企業は「どのように」それを成し遂げるのか、そして、新しく社会の強力な軸となったものを活用していくには「なに」を理解する必要があるのか─この3点をすべての人に理解してもらうことだ。
本書のベースとなっているのは、過去10年間の私と共同研究者(ハーバード大学の内外にいる)による50を超える研究論文や現地調査であり、起業家・取締役・投資家として私が積んできた実務経験である。
私はこの本を、行動する人に向けて書いた。起業家であれ、専門職であれ、投資家であれ、いかなる職位の従業員であれ、自分の知識とスキルを使って社会をより良くできると信じる人に向けて書いた。「ESGはビジネスにとって大事になる」という私の意見を人々に信じてもらうのには長い時間がかかった。もし、このテーマには最優先する価値があり、世界を変える可能性を持つとの確信が私になければ、実際に潮目が変わって学界でこうしたテーマが広く素直に受け入れられるはるか以前に、私はこのテーマを投げ捨てていたことだろう。
パーパスと利益の両立──両者にズレがなく同じ方向を向いて調和しているという意味で、本書ではこれを「ニューアラインメント」と呼ぶ─がたまらなく素晴らしいと思うのは、ビジネスについて私が大好きだと感じるすべての面を強化するからだ。それは組織と社会の見地からだけでなく、個人の見地からしても好ましい。人は自分の仕事にやりがいがあり、個人として得るものがあるならば、いっそう熱心に働くようになり、それは必ずやイノベーションにつながる。より良い車、より美味しいコーヒー、より優れた建築資材と、すべてのものがより良くなり、生産性の向上は企業の最終損益に表れる。たんなる利益よりはるかに大きなことを気にしているのに、結果を見ると収益力が向上している──。
極端な例だが、このような好循環はこれまで一度も存在したことがなかった。今はそれが存在する。本書を読み終えたとき、読者は新しいレンズを通して自分のキャリアと世界を見られるようになっているはずだ。自分の夢を追い求め、結果としてそれがこの世界で報われる様を見るのに、今ほど適した時代はないと確信できる。ビジネスを通して世界をより良くするための道は、我々すべてに開かれている。それは結局のところ、パーパスと利益の結合がもたらす力なのである。
『PURPOSE+PROFIT パーパス+利益のマネジメント』
[著者]ジョージ・セラフェイム [訳者]倉田幸信
[内容紹介]
企業の善行と利益は両立する--企業がよいインパクトを社会に与えるための戦術的方法や、こうした社会的変化によって可能になった価値創造の6つの原型、これからの投資家の役割など、ロードマップとベストプラクティスを提示。ESG投資の世界的権威、ハーバード・ビジネス・スクール教授が示す未来への道。
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