北米本社閉鎖の危機に待ったなし

 2007年9月に化学・医療大手バイエルの子会社、バイエル マテリアルサイエンス(BMS)の取締役会(ドイツ企業の場合、執行役員会に相当する)が開かれた時、そこに参加していた取締役たちは、私がいかにしてピッツバーグ郊外にあるBMS北米本社の間接費を大幅削減するのか、その詳しい計画を発表するものと思っていた。だが、私はむしろ7000万ドルの追加予算をお願いした。

 それ以前にBMSグローバル本社経営陣と北米事業の将来について話し合ったのは、2007年初めのことである。その時、BMSグローバルの新CEOから、テキサス州ベイタウンで開かれる取締役会に参加するように言われた。

 私は2004年半ばからBMSノースアメリカのCEOを務めていたが、グローバル・ガバナンスにおける役割は大したものではなかった。というのも、バイエルの戦略的方向性は、常にドイツ本社の取締役会が決めていたからだ。