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組織を前へ進める「求心力」
サイクルロードレース観戦が好きです。フィジカル、メンタル、レース運びの駆け引き、チームとしての総合力。選手一人ひとりにドラマがあり、観ているとつい惹き込まれてしまいます。
そんな「好き」が高じて、趣味にと以前クロスバイクを買った時のこと。新品のビアンキにまたがりペダルを踏み込んだ瞬間、それまでシティサイクルにしか乗ったことがなかった私は、心の中で思わず叫んでいました――たった一漕ぎで、こんなに遠くへ、行ける! 細いタイヤなら接地面が小さく抑えられ摩擦が減る分、クロスバイクは距離が出ます。力が分散せずに一つところに集まれば、同じ脚力の一漕ぎでこれほど前へ進めるのかと、視界が一気に開ける思いでした。
今号の特集「リーダーの求心力」は、カリスマ性のある一人のリーダーというより、組織に求心力を宿すためにリーダーはいかなる働きかけをすべきか、その方策を探ろうとする試みです。働き方の多様化や雇用の流動化など、ともすれば組織には遠心力がかかりがちな現代だからこそ、組織のメンバーが持つ力を一カ所に結集させる働きかけが求められます。その意味で、本特集が指す求心力とは天性の資質というより、磨くことのできるスキルといえるでしょう。
特集1本目「リーダーの求心力は『対話』から生まれる」は、かつての低迷期から業績を回復させ、時間をかけて組織文化の変革を実現させた丸井グループ社長 CEOの青井浩氏にお話を伺いました。困難な状況で組織を束ねていくために、青井氏は何を実行してきたのでしょうか。
特集2本目「リーダーはいまこそ、勇気というスキルを身につけよ」は、変化が激しく不確実な状況下でリーダー計算されたリスクを果敢に取るために育むべき、5つの方法を示します。
続く3本目「高業績企業のリーダーは『ハンズオン』で現場と関わる」は、リーダーはパーパス、ビジョン、戦略策定といった仕事に注力すべきといった通説に反し、高業績企業の中には実務に積極的に関与しているリーダーが存在することを示し、過干渉でも任せきりでもないハンズオン型リーダーシップの可能性を提示します。
特集4本目「これからのリーダーの仕事は組織の求心力を育むこと」には、武田薬品工業の日本事業トップを務める宮柱明日香氏が登場します。一つひとつの判断が大きな責任を伴い、慎重さとスピードの両立が求められる環境では、「人が動く組織」をつくることが重要だと話す宮柱氏に、それを実現するためのポイントを伺いました。
特集5本目「企業は「変革の常態化」という罠をどうすれば回避できるか」は、組織に変革疲れを起こしかねない大変革の必要性を最小限に抑え、自然と進歩を重ねていけるようなオペレーションのあり方を実現するための4つの実践的な行動について解説します。
今号の特集では丸井グループの青井浩氏と武田薬品工業の宮柱明日香氏にインタビューさせていただきましたが、業界も組織文化も異なるお2人が、従業員を束ね組織をリードしてきた過程を振り返る中で、図らずも「対話」という同じ言葉を口にされていた点が印象的でした。
あなたの組織には、求心力が働いていますか。メンバー一人ひとりの力を集中させ推進力を生み出す際のヒントとして、今号をぜひご活用ください。
なお、2025年6月号から隔月で掲載してきた連載「視点のデザイン 思考の殻を破る」は、今回をもちまして最終回とさせていただきます。春頃からは新連載が開始予定です。どうぞお楽しみに。
(編集長 常盤亜由子)





