編集部が厳選、今週の必読記事5選:2026年9月9日〜9月11日公開
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サマリー:AIやデジタル技術をビジネスの成果につなげるには、営業モデルとの適合性や組織の存在意義、長期的な価値創造を設計し直す必要がある。営業のデジタル戦略や哲学の経営への活用、AI導入を扱う記事を通じ、判断の前提や人材評価の認識のずれを把握することの重要性を改めて確認する。

判断のあり方を見直す

 AIやデジタル技術の進化は、営業活動や顧客の購買行動を変えるとともに、リーダーの判断のあり方にも問いを投げかけている。新たな技術を自社の成果に結びつけるには、営業モデルと適合するかを見極め、組織の存在意義や長期的な価値創造との関係を考える必要がある。同時に、判断を支える暗黙の前提や、人材の評価・登用に潜む認識のずれにも目を向けたい。今回は、営業活動におけるデジタル戦略、哲学を経営に活かす意義、AI導入の方法などを扱った記事を紹介する。変化の中で何を問い直し、どのように組織の進む方向を定めるか、その手掛かりを探る。

1. 営業モデルに応じてデジタル戦略を最適化する3つの条件

著者:プラバカント・シンハ , アルン・シャーストリ , サリー E. ロリマー , サビー・ミトラ

 営業のデジタル化に投じる資金を、確かな成果につなげるには何が必要か。問われるのは、自社の営業モデルに応じて戦略を最適化する視点である。どのような営業活動を支え、何を実現するための投資なのか。本稿は、巨額の投資を無駄にしないための3つの条件を取り上げ、営業モデルとデジタル戦略の関係を見直す手掛かりを示す。

2. なぜリーダーはいま哲学を学ぶ必要があるのか

著者:ファイサル・ホック , ポール・スケイド , プラネイ・サンクレチャ , スベーレ・スポエルストラ

 AIの普及や社会的な共通認識の揺らぎを背景に、経営判断を支える哲学の習熟が重要になっている。リーダーには、意思決定の土台にある暗黙の前提を可視化し、検証する力が必要だ。本稿では、存在論・認識論・倫理学の3領域から、物事の本質、知識、正邪をめぐる問いとの向き合い方を解説し、経営の実践に活かす方策を論じる。

3. リーダーがAI導入を成功させるための3つのステップ

著者:デイビッド・ド・クレマー

 AIへの投資が成果につながらない背景には、導入の速さや目先の課題解決を優先する「緊急性の罠」がある。業務の高速化に偏れば、既存の働き方を維持してしまい、従業員の疲弊を招きかねない。本稿では、組織のパーパスを起点にAIを統合し、持続的な価値創造につなげるために、リーダーが取り組むべき3つの転換を論じる。

4. 顧客と企業の間にAIが介在する時、競争戦略はどう変わるか

著者:グラハム・ケニー , ガンナ・ポグレブナ

 顧客がAIを使って商品や企業を調べるようになったことで、競争優位を築くための顧客接点も変化している。AIが生み出す大量の問い合わせは、商機の増加を意味するとは限らず、営業には依頼を選別する力が必要になる。本稿では、中小企業の事例を通じて、顧客の声の捉え直しなど、企業が直面する課題と適応策を解説する。

5. 60年のデータで明らかになる男女のリーダーシップ経験の違い

著者:ドゥウェイン・ウィッテン , ウェンディ R. ボズウェル , スーザン・オルドロイド

 女性リーダーへの意識は改善してきた一方、評価や昇進機会をめぐる男女の認識差は拡大している。約60年にわたる調査の最新結果では、女性がより厳しく評価されていると考える割合に、大きな開きが見られた。本稿は、女性に繰り返し実績の証明を求める偏りなどを検証し、組織に潜む構造的な障壁を取り除く具体策を提示する。

優れたリーダーは前提を疑う

 今回の記事から浮かび上がるのは、成果を左右する前提を見直すことの重要性だ。デジタル投資は自社の営業モデルに合っているか。AIの活用は組織が目指す価値につながっているか。顧客からの問い合わせや、社内で共有される公平感を、そのまま実態と受け止めてよいのか。こうした問いに向き合うには、みずからの判断の根拠を検証し、異なる立場の人が経験している現実を理解する姿勢が求められる。哲学は、そのための思考と対話を支える。まずは自社で当然のように見られている判断基準を一つ選び、その成り立ちと影響を確かめる。日々の実務を見つめ直すことが、新たな技術の可能性を活かし、人々が納得して働くことのできる組織をつくる一歩になる。