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判断のあり方を見直す
AIやデジタル技術の進化は、営業活動や顧客の購買行動を変えるとともに、リーダーの判断のあり方にも問いを投げかけている。新たな技術を自社の成果に結びつけるには、営業モデルと適合するかを見極め、組織の存在意義や長期的な価値創造との関係を考える必要がある。同時に、判断を支える暗黙の前提や、人材の評価・登用に潜む認識のずれにも目を向けたい。今回は、営業活動におけるデジタル戦略、哲学を経営に活かす意義、AI導入の方法などを扱った記事を紹介する。変化の中で何を問い直し、どのように組織の進む方向を定めるか、その手掛かりを探る。
1. 営業モデルに応じてデジタル戦略を最適化する3つの条件
著者:プラバカント・シンハ , アルン・シャーストリ , サリー E. ロリマー , サビー・ミトラ
営業のデジタル化に投じる資金を、確かな成果につなげるには何が必要か。問われるのは、自社の営業モデルに応じて戦略を最適化する視点である。どのような営業活動を支え、何を実現するための投資なのか。本稿は、巨額の投資を無駄にしないための3つの条件を取り上げ、営業モデルとデジタル戦略の関係を見直す手掛かりを示す。
2. なぜリーダーはいま哲学を学ぶ必要があるのか
著者:ファイサル・ホック , ポール・スケイド , プラネイ・サンクレチャ , スベーレ・スポエルストラ
AIの普及や社会的な共通認識の揺らぎを背景に、経営判断を支える哲学の習熟が重要になっている。リーダーには、意思決定の土台にある暗黙の前提を可視化し、検証する力が必要だ。本稿では、存在論・認識論・倫理学の3領域から、物事の本質、知識、正邪をめぐる問いとの向き合い方を解説し、経営の実践に活かす方策を論じる。
3. リーダーがAI導入を成功させるための3つのステップ
著者:デイビッド・ド・クレマー
AIへの投資が成果につながらない背景には、導入の速さや目先の課題解決を優先する「緊急性の罠」がある。業務の高速化に偏れば、既存の働き方を維持してしまい、従業員の疲弊を招きかねない。本稿では、組織のパーパスを起点にAIを統合し、持続的な価値創造につなげるために、リーダーが取り組むべき3つの転換を論じる。
4. 顧客と企業の間にAIが介在する時、競争戦略はどう変わるか
顧客がAIを使って商品や企業を調べるようになったことで、競争優位を築くための顧客接点も変化している。AIが生み出す大量の問い合わせは、商機の増加を意味するとは限らず、営業には依頼を選別する力が必要になる。本稿では、中小企業の事例を通じて、顧客の声の捉え直しなど、企業が直面する課題と適応策を解説する。
5. 60年のデータで明らかになる男女のリーダーシップ経験の違い
著者:ドゥウェイン・ウィッテン , ウェンディ R. ボズウェル , スーザン・オルドロイド
女性リーダーへの意識は改善してきた一方、評価や昇進機会をめぐる男女の認識差は拡大している。約60年にわたる調査の最新結果では、女性がより厳しく評価されていると考える割合に、大きな開きが見られた。本稿は、女性に繰り返し実績の証明を求める偏りなどを検証し、組織に潜む構造的な障壁を取り除く具体策を提示する。
優れたリーダーは前提を疑う
今回の記事から浮かび上がるのは、成果を左右する前提を見直すことの重要性だ。デジタル投資は自社の営業モデルに合っているか。AIの活用は組織が目指す価値につながっているか。顧客からの問い合わせや、社内で共有される公平感を、そのまま実態と受け止めてよいのか。こうした問いに向き合うには、みずからの判断の根拠を検証し、異なる立場の人が経験している現実を理解する姿勢が求められる。哲学は、そのための思考と対話を支える。まずは自社で当然のように見られている判断基準を一つ選び、その成り立ちと影響を確かめる。日々の実務を見つめ直すことが、新たな技術の可能性を活かし、人々が納得して働くことのできる組織をつくる一歩になる。





