グローバル・ビジネスを阻む言語の壁

 準備のいかんにかかわらず、英語はいま、世界共通のビジネス言語となっている。エアバス、ダイムラー・クライスラー、ファーストリテイリング、ノキア、ルノー、サムスン、SAP、テクニカラー、マイクロソフトの北京拠点をはじめとして、社内の公用語を英語とする多国籍企業が増えている。世界各地に広がった部門や事業の取り組みにおいて、コミュニケーションを促進し、業績を向上させるためである。

 社内で使用する言語を統一するのはよいアイデアだと感心している場合ではない。もはやそれは必須条件である。たとえば、海外で事業展開しているアメリカ企業や、国内の顧客に特化しているフランス企業も例外ではない。

 パリ本社で働く営業担当者が集まって会議を開くとしよう。全員が英語を話せるかどうかを気にする必要はあるだろうか。ないだろう。では、同じメンバーがパリを本拠とする潜在顧客を営業訪問する際に、相手企業が国外の拠点から、フランス語を話せない社員を呼び寄せていたことを知らなかったとしたら、どうだろうか。