東西の冷戦構造の崩壊と、ほぼ同時期に始まったIT革命により、世界は地球規模の異文化間の直接的なつながりが可能となる、グローバル化の時代を迎えた。この転換期を迎えた世界にあって、日本は長く続く経済不況にあえぎ、社会全体の活力を失ってしまっている。
この問題の根本的な原因は、「世界を舞台に活躍できる人材が不足している」ことにあると筆者は言う。明治以降の日本の近代化の礎は公教育による人材育成にあったが、現在の教育現場は迷走し、特に大学教育は世界に通用する新たな人材を生み出す先進性に欠けている。
特に筆者が指摘するのは、異文化を理解するための教養教育の重要性である。これに、英語をはじめ外国語による卓越したコミュニケーション能力を加えた「国際教養」こそ、未来につながる教学理念だという。これにより、知識と理解を広げ、問題解決のスキルと創造的な思考力を習得できる。それが状況に対応した判断を可能にする多角的な視点を身につけさせるのだ。