人はいかに言語を身につけるか。この命題には2つの考え方があり、激しい論争が続けられている。それは、「学習モデル」としての後天説と、「獲得モデル」としての生得説である。

古典的な後天説では、赤ちゃんは保護者から受ける刺激に対する反応として発話すると考える。他方の生得説では、言語は赤ちゃんの発達過程で自動的に獲得される能力であって、生まれながらにして備わっていると考える。生得説を主張したのが、アメリカの言語学者ノーム・チョムスキーであり、言語学の世界に革新をもたらした。

この生得説である獲得モデルに従えば、人はどのようなプロセスで言語を獲得するのであろうか。また外国語の習得は、母語の習得と同じプロセスなのであろうか。日本を代表する言語脳科学者に、言語習得のメカニズムを聞く。