サムスンはどうやってグローバル化を推進したか

 今日の巨大新興企業は、国内市場の枠を超えた事業基盤をいかに構築するかという試練に直面している。サムスン・グループはグローバル市場に進出して最も成功した旧世代の新興企業であり、新世代の新興企業は未踏の道を切り開いてきた同社の経験から多くを学び取ることができる。

 20年前、サムスンは韓国の低コストOEMメーカーだった。よもや同社が技術革新、マーケティング、製品デザインの分野で世界有数の企業になり、ペプシやナイキ、アメリカン・エキスプレスを凌ぐブランド価値を生み出すグローバル企業に飛躍すると予測した人はほとんどいなかった。ましてやサムスンが選択した経営モデルの成功を予見した人はさらに少なかった。

 過去20年の同社の経営モデルとは、日本的経営を基本としつつ、そこに欧米流の経営慣行を接ぎ木することだった。伝統的な強みである低コスト・メーカーの強みに加え、高品質・高利益率のブランド製品を迅速に市場に供給する体制を築き上げてきた。