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「レクサスインターナショナル」ブランドマネジメント部の高田敦史部長。

 「従来のレクサスでお客さまから高く評価されていたのは、『品質』や『サービスの満足度』といった部分でした。一方で、『感動』『革新』といった情緒的なイメージは弱い印象を持たれていた。そこで高い品質やホスピタリティは維持しながらも、もっと感性に訴えかける要素、つまりレクサスが考える『心がワクワクするようなラグジュアリー体験』をブランドとして打ち出していく必要性を感じていたのです」

 その背景には、人々が高級品に“自分基準のラグジュアリー”とでもいうべき価値観を求め始めていることがあります。他人からどう見えるかといったステータスにブランドの価値を置くのではなく、製品やサービスに触れることで自分がワクワクできるような体験を求めること。「いわば、生活者が他人基準よりも、自分基準で見たときに“気持ち良い”と思える体験をラグジュアリーと感じる態度」と高田部長は言います。

 今どきのクルマ選びの基準は、自分がそのクルマと一緒に過ごすことで気持ちよくなれるかどうか。ステータスよりもコンフォートな価値観によるブランドの選び方が世界に広まっているなかで、レクサスは新たに「AMAZING IN MOTION(想像を超えた感動)」というスローガンを掲げ、個人の感性を刺激するプロモーションに取り組んでいます。

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レクサスが手がけた“ブランド体験スペース”「INTERSECT BY LEXUS」。

 その一環として、レクサスが考える「心がワクワクするラグジュアリー体験」を象徴的に表現しているのが、2013年8月に東京・青山にオープンした「INTERSECT BY LEXUS」です。

 “ブランド体験スペース”として誕生した同施設は、1階にはコーヒースタンド、2階には食事ができるラウンジとライフスタイルショップを備えており、クルマは1台しか展示されていません。高級車ブランドが手がけているのに、クルマを販売するためのショールームではなく、人々が交流するための場所になっています。

 空間デザインを担当したワンダーウォールの片山正通氏は、雑誌『ブレーン』の取材に、「レクサスが大好きというオーナーが集まって勝手に作ったサロンをイメージした」と答えています。