レクサスは「心がワクワクする体験」にプロモーションのコンセプトを置くことで、高級車ブランドの一角で存在感を示し始めている。それを象徴するのが、トヨタの豊田章男社長が自らレクサスの「テストドライバー」をしていること。日本発のラグジュアリーブランドとして挑戦を続ける同社のブランド力の源に迫る。

「モリゾウ」というドライバー名でレースに参戦したトヨタ自動車の豊田章男社長。
2013年11月20日、東京モーターショーのプレス公開日に「レクサスインターナショナル」の伊勢清貴プレジデントは、レクサスの年間販売台数が過去最高となる見通しを示すとともに、トヨタ自動車の豊田章男社長が「チーフブランディングオフィサー(CBO)」と「マスタードライバー」に就任し、ブランド力のさらなる強化を目指すことを発表しました。
「マスタードライバー」とは、レクサスのテストドライバーの頂点に立つ存在のことで、開発段階のクルマの性能をテストコースなどで確かめる役割があります。これに豊田社長が就任したということは、社長自らがクルマの開発に深く関わっていくことを表しています。
実は、豊田社長は今年の「ニュルブルクリンク24時間耐久レース」に「LEXUS LFA」のドライバーとして出場したほどの腕前を持つ人物。自動車メーカーのトップが自らハンドルを握り、「走る楽しさ」を体現することは、ほかのブランドとレクサスを差別化し、そのブランドイメージを変えることに貢献しているのです。
ラグジュアリーの価値が、他人基準から自分基準へ
アメリカでの成功を受け、2005年に日本へと“逆輸入”されたレクサスは、より効果的なブランド戦略の実現のため、2012年6月に社内カンパニー「レクサスインターナショナル」を発足。豊田社長のCBOとマスタードライバー就任も、この延長線上にあります。
その狙いについて、同社ブランドマネジメント部の高田敦史部長はこう説明します。