●主催者側がやるべきこと

 細部の準備が重要となる。同時通話を可能にするブリッジ機能の設定、全員が正しい連絡先を持っているかなど、すべての詳細を確認すべきだとアルジェンティは言う。

 コンサルティング会社フェラージ・グリーンライトのCEOキース・フェラージは、主催者が会議の最初に「テイク・ファイブ」の時間を取ることを勧めている(英語記事)。冒頭の5分間、参加者全員が順番に、自分の生活で起きていることを話すのだ。個人的なことでも、仕事のことでもかまわない」。これによって場の雰囲気がなごみ、参加者が互いの話に耳を傾ける気になるという。

 フェラージはまた、全員に作業を割り当てることも勧める。議事録係や質疑応答係を担わせ、会議に集中させる方法だ。また、ひどい雑音でもない限りミュート機能の使用を全面的に禁止すべきであるという。「参加者が自分の声をミュートすると、ジョークの後に完全な沈黙がただよい、会議の雰囲気が台無しになる。なにより、ミュートは自発的な議論を妨げる」

 そもそも基本的なことを押さえているだろうかとアルジェンティは嘆く。「目的は何か。議題は何か。どういう資料を送るのか。当たり前のことがなおざりにされすぎている。先日の電話会議では、主催者は私が運転中だと知っていたのに資料を読めと送ってきました。考えがなさすぎます」

Power Cuesの著者ニック・モーガンは、バーチャル会議では10分ごとに休憩を入れるよう提案している(英語記事)。今日では集中力の持続時間が短くなっているからだ。また、ファシリテーターは定期的に進行を止め、グループからインプットを求めるべきだという。

 加えて、参加者の人選を吟味する必要がある。「不必要なミーティングへの参加は生産的でないうえ、積極的に議論に加わりにくいものです。ただ予定上の見栄えはいい」とベルマーは指摘する。「そういう人は、会議に受動的に参加しながら“本当の仕事”を続け、自分は効率的に仕事をこなしていると考えるのです」

 アルジェンティもこれに同意する。「メールでCCを送るのと似ています。参加すべきは誰か、ファシリテーターはよく考える必要があります」

 ●遠隔地の参加者がやるべきこと

 離れた場所で会議に参加するメンバーは、携帯電話よりもヘッドセットを使うべきであり、携帯に比べれば固定電話のスピーカーのほうがまだましだ、とアルジェンティは言う。「電話よりもPCのほうが近くにあったら、PCに気を取られやすくなります」

 彼はまた、自分の存在を他のメンバーが忘れないよう意識させることも勧める。「会議が始まって20~25分くらい経ったら、質問をしたりコメントを挟んだりして、会話に参加していることを思い出してもらうのです」

 ニック・モーガンは、感情を伝えることの重要性を指摘する。電話では視覚的な手がかりがないからだ。意識的に感情を表す言葉を選ぶとよい。たとえば「次に紹介するニュースはとても面白いと思う。なぜって……」、「ジム、第3四半期に数字が改善していないとは、驚いたな。本気で心配になってきた。君はどう思う?」といった具合だ。

 つまり、電話では消え失せてしまうものを、取り戻す必要があるのだ。たとえビーチにいたとしても。


HBR.org原文:What People Are Really Doing When They’re on a Conference Call August 19, 2014.

■こちらの記事もおすすめします
会議中でもマインドフルになれる 2つの簡単なテクニック
会議の生産性はまだまだ改善できる

 

グレッチェン・ガベット(Gretchen Gavett)
『ハーバード・ビジネス・レビュー』のアソシエート・エディター。