自分に関係のない情報はそもそも受け入れてもらえない時代、どのようなコンテンツであれば、ブランドのメッセージはターゲットに届くのだろうか。グーグルが活用しているのが「3H(スリーエイチ)コンテンツストラテジー」だ。好評連載、第7回。
自分に関係のない情報は受け入れにくい
前回の連載では、実態に即したターゲティングによる一貫したマーケティング戦略の可能性を追求する取り組みを紹介した。今回は、そのターゲットにとって、ブランドからのメッセージが本当に価値があるものになっているか、そしてそもそも、ブランドそのものがターゲットから支持されるためのプロセスとはどのようなのかもについて考えていきたい。

石井 哲(いしい・てつ)
グーグル株式会社ビジネスマーケティング部統括部長
外資金融にてデリバティブ業務、スポーツマーケティング社にて企画に携わった後、外資総合広告会社に在籍。ブランドマーケティングやCI開発に従事。広告領域にとらわれない業務提携によるビジネスモデル開発も推進し、得意先ビジネス拡大を果たす。現在は、培ってきたマーケティング知見とデジタルテクノロジーを織り交ぜ、ソリューションツールやマーケティングモデルの開発を手掛ける。
ブランドからのメッセージを受け取る側の生活者は、デジタルテクノロジーを駆使し、欲しい情報を自由なタイミングで探し、かつその情報の良し悪しに関わらず、気軽に他者と共有するようになった。自分の思考に合わないと思えば反対意見をブログやソーシャルメディアに上げて活発に議論し、時にあらゆる情報源を駆使してその真実を問うといった活動も目立つようになってきた。情報は民主化し、ある特定の組織がコントロールできるものではなくなった。自分好みの情報を取捨選択して消費し、発信するようになった生活者にとって、自分に関係のない情報は積極的に受け入れにくい。
この現実が示すのは、ブランドから発信されるメッセージは、常にターゲットにとって興味あるメッセージ、つまり価値あるコンテンツであり続けなければ意味をなさないということだ。以前ならば、限られたメディア環境に居るターゲットへの広告の大量投下や適切なメディアミックス、もしくは、ユニークな広告表現で、ブランドが結果として興味の対象となる可能性があった。しかし現在では、それ以前にブランドが広告メッセージだけではなく、その理念やターゲットにとって価値ある情報も含有するコンテンツとして認識されていなければならない。
そもそもブランドはターゲットにとってどのようにしてコンテンツとして認識されていくのか。どうやって発信し続けていくべきなのか。マーケターの古くからある課題だが、今だからこそできる発想で考えていきたい。