BPOサービスに再び焦点を当てる

 ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)とは企業の組織機能の一部を外部に委託して運営するサービスの総称です。これまでも多くの企業で導入されてきていますが、デジタル時代においてはこれまでとは異なる新たな利用価値を持つサービスとなってきていることに注目したいと思います。

 まず多くの企業で導入されているオーソドックスなBPOについて簡単に説明しましょう。業種業界を問わず企業における業務は2種に大別できます。一つは、一定のリソースでより大きい成果を追及してゆく「成果追及業務」(商談、販促企画など)。もう一つは、一定の納期・品質を保ちつつより少ないリソースで効率的に実施することを追及してゆく「効率追求業務」(経費処理、実績集計など)です。

 ここで留意していただきたいのが、成果追及“部署”・効率追求“部署”ではなく“業務”であることです。原則、すべての部署の業務は成果追及業務と効率追求業務の両方を内包しています。 たとえば営業部の仕事のなかには実際に取引先に会って商談をする成果追及業務もあれば、営業実績を集計してレポート化する効率追及業務もあるわけです。オーソドックスなBPOは「既存事業」におけるこの「効率追求業務」を対象にして「長期間」にわたって受託することで低業務コストを実現するサービスであり、これによりBPO導入企業は効率追求業務の業務コスト最適化はBPOプレーヤーに委ね、自社は成果追及業務(コア業務)へのフォーカスが可能となります。

 このオーソドックスBPOの「効率追求業務の低業務コストによる運用」モデルは今後も引き続き価値を持ち続けるのは間違いないでしょう。一方、前述したデジタル時代に必要な事業変革における最大のチャレンジ、すなわち人的リソースのフル活用における課題解決にフォーカスしたまったく新しい戦略的なBPOの活用方法(4つの“H”からなるH-BPO)をアクセンチュアでは提唱しています(図2、3)。

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出所:アクセンチュア

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