小さく始めて早めに失敗する

 デジタル営業ツールの数はあまりにも多く、途方に暮れてしまうかもしれない。営業部門を統括するリーダーとしてはどこから始めるべきだろうか。

 我々は、営業組織が小さなチームを作り、試しながら学習することによってこの問題にうまく対処する様子を見てきた。多くの組織がアジャイル開発の原則を取り入れており、プロセスを改善するだけでなく、短期集中型のトライアルを実施して成果を上げていた。成功を測る唯一の基準は、売上高と利益幅の増加である。こうしたチームで小さく始めることにより、プロセスの中で素早く欠点を解消できるし、たとえ失敗しても小さな傷で済むため、成功しないかもしれない方法も試すことができる。そして成功すれば、それを素早く拡大できる。

 景気後退の到来を正確に予測しようとしても、たいていは当たらないため、あまり意味はない。しかし勝者になる企業は、景気後退が始まるずっと前からその最中にかけて、営業組織や市場開拓戦術など、自力でコントロールできる部分に取り組むことに力を入れる。そして営業に関するデジタルテクノロジーにいっそう精通することにより、デジタルの導入が遅い競合他社よりも優位に立つことができる。適切なデジタルツールを装備した営業チームにとっては、来たる景気後退は恐怖ではなく、むしろ待望されるものとも言えるのである。


HBR.ORG原文:What Sales Teams Should Do to Prepare for the Next Recession, November 23, 2018.

 

マーク・コバック(Mark Kovac)
ベイン・アンド・カンパニーのパートナーで多数の顧客戦略やマーケティングを中心としたプロジェクトに携わっている、ベインのB2Bコマーシャル・エクセレンス・グループのリーダー。
 

ジェイミー・クレグホーン(Jamie Cleghorn)
ベイン・アンド・カンパニーのパートナーで顧客戦略やマーケティングを中心に、多岐にわたる分野のプロジェクトを手掛けている。