デジタル時代の競争に勝ち残るためにはDXパートナーが必要 

 実際にDXに挑む際に重要なことはいくつかあるが、最も重要なこととして鈴木氏は「DXパートナー」を挙げる。「変革は自社だけではできるものではない。一緒にコミットしてくれるパートナーを選び、そのパートナーと数年の時間をかけ、実現に向けて進める必要がある」(鈴木氏)。このように、自社に最適なパートナーを選定してDXを進めるというのは欧米の成功事例の共通パターンであり、「自社が崩壊(ディスラプト)させられないための一番の鍵ではないか」と鈴木氏は述べる。 

 パートナーが必要なもう一つの理由として、DX人材の中でも特に「アーキテクト」が不足している問題がある。「アーキテクト」とは、デジタル技術によりビジネス要件を会社全体で実現するためのアーキテクチャを描く役割で、これなしにDXは進められない。だが、そのようなスキルを持つ人を探すのは難しく、社内で育てるのも簡単ではない。世界中での業界知識と最新テクノロジーに詳しいアーキテクトを備えるパートナーと組めば、これを解決できる。 

 一方で、人材や組織・体制については朗報もある。アンケートでは、DX推進の課題について40%が「人材の育成と確保」を、55%が「組織・体制」をあげたが、鈴木氏はMicrosoft Dynamics 365(クラウドビジネスアプリケーション)導入に合わせて社内で開発エンジニアを育成したあいおいニッセイ同和損害保険の事例を紹介する。

「会社は『2025年の崖』問題への対策に着手していない」と回答された方にお聞きします。まだ着手されていない理由は何ですか?(複数回答可) 【画像拡大】

 あいおいニッセイ同和損保は新しいERP/CRMシステムを入れる時に、一緒に会社を変えたい人を広く募るため、DXで何を実現したいのかについて誰にでも分かりやすいカジュアルなスライドや説明動画を作成したところ、約150人が集まった。さらには、その9割が女性だったという――「会社を変えたい、DXをやりたいと思っている社員は社内に多くいる」(鈴木氏)。幸い、現在のデジタルツールはローコードで業務アプリを簡単に作成できるほどハードルが下がっている。同社は応募者に毎週2時間半、6週にわたるトレーニングを行い、最後の試験合格までを支援し、市民開発者(Citizen Developer)として育成した。「DXへの精神的なハードルを下げ、社内にいる仲間をうまく巻き込んで人材や組織・体制の問題をも解決した点が、DX推進成功の大きな要因になっている」と鈴木氏は言う。 

 今回のアンケートでも、約34%が「自社のDX推進において全く関係していない」人だが、「DXを推進していないのに本アンケートに回答しているとすれば、彼らはDXに高い興味がある人たちと言えます。DXで会社を変えなければと思っている人たちなのでは?」と鈴木氏が言うように、社内にたくさん原石はありそうだ。一緒に道筋を歩む社員と強力なDXパートナーがいれば、DX成功への大きな一歩を踏み出すことができるだろう。

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アンケート調査概要
調査対象:ダイヤモンド・オンライン無料会員
調査期間:2019年11月25日~12月4日
調査方法:Webサイトで回答(SurveyMonkey)
有効回答数:207

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