Thirawatana Phaisalratana/EyeEm/Getty Images

新型コロナウイルス感染症はアジア諸国から欧米へと拡大し、世界中の企業がその対応に追われている。予測できない要素が多く、過去の事例もヒントにならないため、この問題のお手軽な解決策は存在しない。しかしながら、この危機を一足早く経験し、適切に対処した中国の企業から学べることはある。本稿では、いま危機に直面する企業が活かせる12の教訓を示す。


 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をめぐる危機が欧州と米国に拡大して、企業も対策に追われ始めた。しかし、企業がどのような対策を取るべきかという、お手軽な正解はない。なにしろ、この病気に関しては予測できない要素が多く、ヒントになる過去の事例もない。政府や国際機関からマニュアルの類いも示されていない。

 とはいえ、地域ごとに状況が異なることは言うまでもないが、一足早く感染拡大を経験した地域の企業が取った対応は参考になるはずだ。

 ヒトとモノの移動、生産活動の活発さ、消費者マインドを映し出す指標の細かい時系列データを分析すると、中国経済はすでに回復の初期段階に移っているように見える。再び感染拡大が起きれば、景気回復の腰はたちまち折れてしまう。この点には留意すべきだが、多くの中国企業はもはや危機対応の段階を脱し、新型コロナウイルス禍からの復旧とその後のビジネスに向けた計画立案の段階に移行し始めている。

 本稿では、私たちが中国企業の復旧計画の立案を支援してきた経験をもとに、ほかの地域の企業リーダーにも参考になる、差し当たりの教訓を12項目にまとめた。政治や行政の仕組みや社会慣習は国によって異なるが、以下に示す教訓の多くはどの国の企業にも当てはまるだろう。