●心の内をモニタリングする

 行き過ぎた手助けをする傾向にあるかどうかを調べるには、自分の内側を覗き、自分自身の気持ちをよく見つめるのが一番だ。次の項目に当てはまるかどうか、正直に答えよう。

(1)人助けをしていないと不安やあてどなさを感じる。

(2)たわいのない会話でも、「ただ力になろうとして」求められてもいないアドバイスをしている。

(3)自分が力を貸した相手が、他人のアドバイスが役に立ったと言ったり、自分に相談しないときがあったりしたとき、弁解がましい態度や素っ気ない態度をとる。

(4)人生を変えるようなアドバイスをして人を助け、自分の助けが相手の成功になくてはならない状況をよく想像する。

(5)自分が助けようとしている相手が自分のアドバイスを信じなかったり、聞かなかったりしたときに不安を感じる。

(6)アドバイスをした後、賛辞をもらおうとする。または相手に自分が役に立ったことを認めてもらわないと気が済まない。

(7)ストレスのかかる手助けをした後は、犠牲を払った、利用されたと感じる。

 数項目当てはまったからといって、必ずしも人を助けすぎていると断定することはできないが、要注意の証と言うことはできるだろう。すべての項目が当てはまった人、あるいはこの話題自体に不安を感じた人は、さらに掘り下げたテストを通して、そもそもどこで、どのように他者を助けることと、自分のアイデンティティとを重ねるようになったのかを特定する必要がある。

 ●救世主ではなく、対等なパートナーを名乗る

 優れた支援者としては、最初に明確な期待値を設定すべきだ。

 私は最初にクライアントといくつかの線引きを行うが、その一つが「私があなたよりも、あなたの成功を気にすることはない」というものだ。本人が自分を助けようとする以上に相手を助けようとしていたら、それは助けすぎの兆候である。

 クライアントや部下が約束したことを、コーチやリーダーが定期的にリマインドし、その約束が果たされなかったときの弁解を受け入れ、その仕事を代わりに行ったとしたら、そのパートナーシップは対等ではない。さらに、そのコーチやリーダーが、最高の感謝の言葉(「いくら感謝してもし切れません。本当に助かりました!」)に密かに欲求を満足させられたとしたら、その内なる白い騎士(ホワイトナイト)が頭をもたげた証拠である。

 優れた支援者になりたければ、相手が自分の選択が期待外れに終わったときの、その後の苦しみを見守る覚悟が必要である。相互の明確な責任を遵守することが、成功を共通の成果にする。