より高みを目指せ

 ダボス会議でのゴールドマンの発表で一番の問題は、その範囲が非常に限定的なことかもしれない。

 かつてプライスウォーターハウスクーパースは、「あるグループが意思決定に本当に影響を与えるためには、全メンバーの30%以上の規模が必要だ」と指摘している。すなわち、会社の決定に女性の声を反映させたいなら、目標をもっと高く持たなければならない。

 これは世界のどの地域でも言えることだ。アジアや南米、そしてアフリカにも、リーダーシップを取ることができる非常に優秀な女性が大勢いる。米国の企業が、世界中で男女同権と多様性を推進したいと思うなら、最初からすべての地域を含めるべきだ(ゴールドマンは今後、そのルールを全世界に広げるつもりだとしている)。

 企業は、あらゆる職種と階層で性差を解消し多様性を確保することは、会社としてやるべき必須事項であることを理解する必要がある。その証拠たっぷりある。ゴールドマンが新ルールを発表する直前、筆者はサウジアラビアの国際会議で、その話をしたばかりだった。

 この問題に注目が集まっているのはいいことだ。だが、ゴールドマンのルールが大局的な問題に対処していないことを示す光景が、その発表の1週間後に見られた。

 ゴールドマンが初めて開催した「投資家の日」のことだ。舞台に登壇するのは男性ばかりで、ようやく女性が登場したときには、イベント開始から5時間以上が経過していた。


HBR.org原文:Why Goldman Sachs's Push for Diversity Is Unlikely to Drive Real Change, February 20, 2020.


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