●防災訓練で実践する

 通勤再開の最初の週は毎日、防災訓練を行おう。訓練の時間になったら、全員いまやっていることをやめて、新しい行動規範を実践してもらう。

 2週目の防災訓練は2回程度でよいだろう。その効果を上げるには、リーダーも参加する必要がある。部下たちには、新しい安全行動を一つひとつ全部やらせること。もちろん、「~してください」と「ありがとう」と言う訓練も含まれる。

 防災訓練に必要な時間はずっと少ないが、従業員に新しい行動パターンの重要性を思い起こさせるので、変化を維持するうえできわめて重要な役割を果たす。

 ●毎日、見回りする

「結果を引き出したいなら、『期待』するのではなく『視察』しなさい」という表現がある。病院と同じように、リーダーはチェックリストを持って「回診」を行い、ルールが遵守されているかどうかを調べなくてはいけない。現場に足を運び、適切な行動がどのくらい実践されているかを観察してもいいだろう。

 最初の30日は、毎日点数をつけよう。視察の時間は毎日違う時間にすること。2ヵ月目以降は1日おきでよいだろう。

 ●点数を公表する

 リーダーは、見回りでつけた点数を「毎日」公表すべきだ。数字の上に遵守率を示す印をつけてもよいだろう。たとえば、遵守率が95%以上は緑色の丸、80~90%なら黄色い丸、80%未満なら赤い丸といった具合だ。

 成績がどうであれ、必ず結果を公表して、クライアントや顧客にも見えるようにしよう。恥をかくことは、行動を改善する強力なモチベーターになる。恥をかくほど、モチベーションは高まるのだ。

 多くの従業員とリーダーは、こうしたプラクティスを実践することに気まずさを感じるかもしれない。これまで職場の安全を確保する努力に関わってこなかった人なら、なおさらである。だが、いまは非常時だ。全員の安全と健康を守るためには、自分が快適だと思えないこともやらなければならない。

 リーダーがこうしたプラクティスに真剣に取り組めば、新しい規範をより迅速に徹底できるだろう。それは従業員の安全だけでなく、ビジネスの健全性という意味でも重要だ。

 これまで述べてきた重要な行動規範を遵守すれば、事業活動を再開し、それを維持することができるはずだ。


HBR.org原文:5 Tips for Safely Reopening Your Office, May 20, 2020.


■こちらの記事もおすすめします
優れたリーダーは「なぜやるべきか」を明確に伝える
危機的状況で人を動かすメッセージを発信する方法
コロナ危機で起死回生の打開策を待つよりも大切なこと