優れたマネジャーは、現在の環境に見合った調整が必要であることを知っている。これは、少なくとも当面、部下に対する期待値を下げることを意味する。その具体的なガイドラインを以下に示そう。
【やるべきこと】
・プロジェクトと期限の優先順位を見直す。後回しにできるプロジェクト(あるいは取りやめにできるプロジェクト)や、期限をのばせるプロジェクトを見極めよう。
・これらのプロジェクトに必要とされる細目や質、および従来の成功の尺度を見直す。十分と見なせるレベルや、現実に達成可能なレベルを考えよう。
・仕事の分担を見直す。チームメンバーそれぞれの置かれた環境とキャパシティを理解しよう。
【やってはいけないこと】
・これまでと同レベルの反応や対応を期待すること。
・現在の状況に、誰もが自分と同じような対応すると思い込むこと、あるいは誰もが過去のストレスフルな状況と同じ対応をすると思い込むこと。現在の状況は、これまでとはまったく異なる。
・自分の限界を超えているとか、助けが必要だと感じた人は、あなたにそれを言ってくるだろうと思い込むこと。「そのような場合は、私に言ってくるように」と明示的な許可を与える必要があるし、サポートを求めてもいいのだということを態度で示す必要がある。
正確を期して言うと、期待値を調整するということは、マネジャーの責任を縮小するとか、怠慢な仕事をしていいと示唆することとは違う。また、結果を出す努力をしなくていいとか、説明責任を問う必要はないと示唆することではない。
新型コロナ危機は、全員で走るマラソンだ。自宅待機と同じように、生産性に関する期待値の調整は、あくまで一時的なものである。いまマネジャーが期待値を調整すれば、長期的には、部下たちからより大きな結果を引き出すことができるだろう。
HBR.org原文:Managers, Adjust Your Expectations (Without Lowering the Bar), May 27, 2020.
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